顎が痛い!


「顎が痛くて口をあけにくい」

「朝起きたら顎に違和感がある」

このように感じたことはありませんか?

その症状顎関節症かもしれません。

目次

  1. 顎関節とは
  2. 顎関節症とは
  3. 顎関節症の症状
  4. 顎関節症の原因
  5. 顎関節症の治療
  6. まとめ

 


1.顎関節とは


顎関節とは下顎頭下顎の骨)と下顎窩側頭骨という骨にある下顎頭がおさまる窪み)と下顎頭の前にある関節結節で構成されています。
側頭骨と下顎骨の間に関節円板(顎の開け閉めを潤滑に行うためのクッション)と滑液(動きを滑らかにする潤滑剤)があります。

これらを顎関節と呼びます。

 

 


2.顎関節症とは


下顎の骨には口を開け閉めするための筋肉が付着しています。筋の働き、顎関節の潤滑な動きによって、口の開け閉めは行われています。
顎関節や周囲が何らかの原因により炎症を起こすことで動きにくくなったり、痛みが出てくるのが顎関節症です。

一生の間、二人に一人は経験すると言われている程多くの人が経験する疾患です。
また、男性に比べ女性のほうが多く、その数は2~8倍とも言われています。

 


3.顎関節症の症状


・口を大きく開けると耳の前あたりで音がする。                                                           「カクン」や「ジャリジャリ」などの音がすることがあります。

・顎関節の痛み                                                                                 特に口を開けるときに痛く、両方の顎に痛みが出ることもあります。

・口が大きく開けられない                                                                        人差し指、中指、薬指の3本の指が縦に入らないときを大きく開けられないと判断します。

・肩首腕の痛みや腰の痛み、指のしびれ、片頭痛等症状が全身に広がることもあります。

 

このような症状が一つでも見られ、また、他に原因となる病気がない時、顎関節症となります。

また、最低でも人口の20%くらいの人には顎関節の音が聞こえているとされています。

首や肩を動かしたときにコリが原因で音が出ることがあると思います。

顎関節も同様で、症状が音だけの場合、コリと同じような状態です。

顎関節の場合耳のすぐ隣にあるため音が気になってしまうのです。

 


4.顎関節症の原因


顎関節症は、「顎関節や筋に負担のかかる要因がいくつか重なり、その人の持っている耐久性を超えてしまうと症状が出る」と言われています。一つ一つは大きなリスクとは言えませんがいくつもの要因が集まることで症状を起こす原因になります。

・歯ぎしり

・食いしばり

・上下歯列接触癖(TCH)                                                                                           食事や会話以外で上下の歯が接触している状態・癖のこと

・嚙み合わせ不良                                                                       歯がなかったり、歯並びの具合で左右の噛むバランスが良くない場合があります。そのような時、顎への負担が増えてしまいます。

・構造上の問題                                                                                  顎関節そのものがもともと弱いなど

・顎の筋肉の緊張

・外傷                                                                               転倒などによる打撲など

・日常生活における習慣や癖                                                                            頬づえ                                                                  片側の歯での偏った噛み方                                                          うつぶせ寝の習慣

・ストレス                                                                       ストレスから歯ぎしり・食いしばりの増加や筋肉の緊張により顎関節の負担が増える

 

歯ぎしり・食いしばり・上下歯列接触癖については、また次回詳しくお伝えしたいと思います。


5.顎関節症の治療


①開口訓練

口を開ける練習になります。関節の可動域を広げたり、動きをよくすることができます。

また、痛みがあるときは無理のない(痛みのない)範囲で行っていただくことでストレッチ効果も期待できます。

1.上下の歯を接触させないように、出来るだけ早く開け閉め運動を10秒間

2.親指を上の歯の前歯、反対の手の親指を下の前歯にあて、ゆっくりと口を広げていく。                                                   この時、痛みの出ない範囲で広げる。                                                                              一番開いた状態で5秒間キープ。

3.手を離したら1を再度行う。

4.1~3を一回3セット一日3~5回行う

 

②筋肉のマッサージ

〇咬筋(頬の出っ張りから下顎のエラに向かって付いている筋肉) 

1.耳の前から鼻の間にある頬の出っ張り(頬骨)に指を3本置く

2.円を描くように軽く押しながら下顎のエラの方に指を動かしていく                                           奥歯で軽くかみしめると固くなるところが咬筋になります。

3.軽く痛みのあるところ、コリを感じる部位を見つけたら軽く円を描くように押す。

〇側頭筋(耳の上あたりから側頭部に広がる筋肉)

1.耳の上あたりに人差し指~小指の4本をあてる。

2.円を描くように軽く押し当てながら頭頂部に指を動かしていく。                                                 奥でかみしめると固くなるところが側頭筋になります。

3.軽く痛みのあるところ、コリを感じる部位を見つけたら軽く円を描くように押す。

 

お風呂後や体のあったまっているタイミングで行うと効果的です。

 

③ナイトガード

就寝時に上の歯につけるプラスチック製のマウスピースです。

無意識に行ってしまう夜中の歯ぎしりによる歯や顎関節への負担を減らすことが出来ます。

④投薬

痛みが強く、口が開けられない場合、痛み止めを服用していただくことがあります。

痛み止めには炎症を抑える作用もあります。

その作用により顎関節付近の炎症を抑えてくれます。

 

⑤癖の改善

上下歯列接触癖や日中の食いしばり、頬杖など原因となっている癖をやめましょう。

癖になってしまっていることをいきなりやめることはなかなか難しいです。

その際ポストイットなどのメモを良く目につく場所(PCや仕事机等)に貼ると効果的です。

メモを読んだら、やっていないかどうか、やっていたらすぐやめる。

まずは意識することから始めてみましょう。

 


6.まとめ


顎関節症は治療を行うことで2週間~3か月ほどで症状を改善させ、痛みをなくし、日常生活を問題なく過ごせるようになることが多いです。

しかし一度顎関節症を発症すると完治させることは難しく、再発することがあります。

再発させないためにも日々の顎への負担を軽くすることが大切です。

歯ぎしりや食いしばりはご自身で自覚するのは難しいと思います。

お口の中を見ることで歯ぎしりや食いしばりを行っているかどうか分かることがあります。

顎の不調、痛みがあるときはお気軽にご相談ください。