歯ぎしり、TCHの改善について


前回は歯ぎしり・食いしばり・TCHについてお話ししました。

本日は改善方法についてお話しします。

目次

  1. ナイトガード
  2. 日中のTCHの改善
  3. ボツリヌストキシン製剤(ボトックス)注射
  4. まとめ

 


1.ナイトガード


夜間に使用する上の歯に装着するプラスチックのマウスピースになります。

上下の歯の直接の接触を防ぐことで、歯や顎への負担を軽減することができます。

①マウスピースの種類

マウスピースにはソフトタイプとハードタイプの二種類があります。

・ソフトタイプ

柔らかい素材でできているため、装着時の違和感が少ない物になります。

ただし、歯ぎしりの力が強い場合、穴が開きやすいデメリットがあります。

・ハードタイプ

硬い素材でできているため、歯ぎしりの力が強い時も穴が開きにくくなります。

しかし、装着時の違和感が大きくなってしまうデメリットがあります。

 

ナイトガードは使用していると穴があいてきます。

また、変形が起こることもあるため、個人差もありますが1年くらいが寿命と言われています。

歯ぎしりの力が強い方は1年もたずに穴があくこともあります。

穴のあいたものを使用しても十分な効果は得られません。

作り変えましょう。

またソフトタイプが短期間で穴があくような時はハードタイプをお勧めいたします。

 

②市販のナイトガードについて

近頃は市販のナイトガードが販売されています。

お湯で軟化し自分で制作することができます。

しかし、柔らかくした熱いものを上手に噛みこむことはとても難しいことです。

ご自身で製作したものに少しでも歪みがあると、寝る度にその歪みの分の負荷が顎にかかってしまいます。

つまり、使用することで逆に悪影響を及ぼしてしまいます。

市販のものに比べると高くなりますが、ナイトガードは保険診療で製作できる装置です。

1日のうちの7~8時間と長時間使用する装置になるため、歯科医院で製作したものを使用しましょう。

 


2.日中のTCHの改善


TCHは歯ぎしりのように装置を使って治療ができるものではありません。

「歯を触れさせない」ように意識して治さなくてはいけません。

「歯は離す」「深呼吸」とかいたポストイットなどをPCや机など目に付くところに貼ります。

目に付いた時、歯が離れているかどうか確認し、触れている時は離してください。

緊張時やストレスを感じているときに歯が触れることが多くなります。

離した後は一度深呼吸をしていただくと、リラックス効果が期待できます。

癖を治すことは難しいですが、まずは触れていないかどうか意識するところから始めましょう。

 


3.ボツリヌストキシン製剤(ボトックス)注射


ボツリヌス菌の作るボツリヌストキシンというタンパク質を使用します。

ボツリヌストキシンを筋肉に注射することで筋肉の力を弱める事ができます。

美容外科ではしわ取りとして使用されています。

咬筋に注射することで噛む力を弱めます。

(ボトックスとは、薬品の商品名です。)

①メリット

・歯ぎしりや食いしばりの時の負担を軽減する。                                               歯ぎしり・食いしばりによって引き起こされる症状を軽減させることにつながります。

②デメリット

・刺入時の痛みがある。                                                                                           表面麻酔を塗ることで痛みを極力減らすことが出来ます。

・保険外診療になる。

・個人差がありますが3~6か月ほどで効果が切れるため、定期的に注射を受ける必要がある。                                              頻回、多量に注射を行っていると極まれに耐性が生じることがあります。

・注入部の腫れ、内出血、かゆみが起こることがある。                                                             多くの場合が施術後1週間ほどでおさまります。

・アレルギー反応が起こることがある。                                                                           免疫の働きをする細胞が体内で異物と感知し、過剰な防御反応を示すとアレルギー症状(赤み、腫れ、かゆみ)が出てきます。                                           1週間~1か月ほどでおさまります。

・顎の形が変わる                                                                              筋肉の力を弱めることで顎の形が変わることがあります。                                                                   歯ぎしり・食いしばりの治療で行うため、見た目の変化によって左右の形が異なることもあります。

③ボツリヌストキシン製剤の注射が出来ない方

・美容目的の方

歯科医院では歯ぎしり・食いしばりの治療のためでのみ行います。

・妊婦、授乳期の女性

・すぐの妊娠をご希望の方

施術後は女性のみでなく男性も一定期間開ける必要があります。

・ボツリヌス菌が原因と思われる食中毒やアレルギー既往のある方

・筋力の低下をきたす疾患をお持ちの方

 

ボツリヌストキシン製剤の注射は時間がたつと効果が切れてしまうため、定期的に打つ必要があります。

その際効果が切れる前に再度施術を行い続けることで持続期間が長くなるといわれています。

物を噛むときに使用する咬筋の働きを弱めることで他の筋肉で物を噛む癖がつくようになり、ボツリヌストキシン製剤の効果が切れても咬筋の発達されにくくなるためと考えられています。

 


4.まとめ


ナイトガードは上顎の歯に装着する装置になるため、異物感によって睡眠がとりにくくなる方もいらっしゃいます。

ナイトガードが違和感によって使用しにくい場合は筋力を弱めるボツリヌストキシン製剤の注射は治療の選択として良いかと思います。

菌の作る毒素を筋肉に注入することや、効果を持続させるために繰り返しの施術が必要になる、と聞くと不安に感じられる方も多いと思います。

疑問点や、不安に感じるときはお気軽にご相談ください。