詰め物や被せ物の製作のため、マウスピース矯正の診断・装置製作のために型取りは重要になります。
従来の粘土のような材料を使用せずに行う方法があります。
3D光学スキャナー「iTero(アイテロ)」を使用する方法です。
本日は3D光学スキャナー「iTero」についてお話したいと思います。
3D光学スキャナーとは
口腔内の様子をペン型の小型カメラでレーザーの光を使用して撮影し、撮影した画像は、撮影後15分ほどで立体画像化しモニター上に映し出す事ができる装置です。
モニター上に映し出された口腔内の画像は拡大したり、回転させることが可能なため、様々な角度から細部の様子を詳しく把握することが可能です。
アメリカやヨーロッパでは広く普及しており、日常的に使用されています。
日本ではまだ普及率は低い機材になります。
iTeroでできること
- ・3Dデジタル印象
レーザーの光を使った型取りは、光学印象とも呼ばれます。
従来の粘土の様な型取りの材料を使用せずに型取りを行えるため、呼吸のしずらさや異物感が少なく、嘔吐反射が強い方も負担を少なく型取りが行えます。
デジタル技術の進歩によりデータの正確性も高くなり、印象材を用いた型取りよりもひずみが生じにくい点も特徴です。
詰め物や被せ物の型取りも行えますが、使用する材料によっては行えない場合があります。
また、歯茎の中の型取りが必要な場合も光学スキャナーによる型取りは行えません。
これは、歯茎の中は光が到達しにくく、しっかりデータが取れない場合があるからです。
- ・口腔内カメラ
撮影したデータをモニター上で確認する際、3D画像の隣に口腔内カラー写真を並べる事ができます。
- ・リアルタイムのタイムラプス
撮影したデータは保管されます。
保管したデータを元に歯のすり減り具合や、歯茎の位置等、お口の中の変化をタイムラプスで見ることが可能です。
- ・シミュレーション機能
インビザラインで矯正治療を行ったとき、どのように歯並びが変わるのかを確認することができます。
治療することで自分の歯並びがどのように変化するか、が口腔内撮影後15分ほどで見られます。
マウスピース矯正(インビザライン)とiTero
iTeroという光学スキャナーはインビザラインというマウスピース矯正とシステムを連携させています。
連携することで、精度、効率性に大きく貢献しています。
- ・型取りの精度の向上
従来の型取りで使用する粘土のような材料や、模型にするための石膏はどんなに注意していても変形が起こってしまいます。
これは材料の性質もあるため避けられません。
また、材料を混ぜる工程上、人的なエラーもやはり起こることがあります。
iTeroによる型取りでは歯型がデータで得られるため、歯型の変形や、人的エラーによる精度の差も起こりにくくなります。
そのため、従来の型取りで製作したマウスピースに比べ、装着に関するトラブルが減少したと報告があります。
また、型取りのために粘土のような材料を使用する必要は無くなるため、型取り中の負担が少なくなります。
- ・3Dイメージをその場で確認できる
その場ですぐ確認ができるため、型取りをやり直すために再度来院していただくような心配もありません。
シミュレーション機能により、現状の問題点や治療での改善点などを3Dイメージを回転させながら様々な角度から確認することができます。
- ・治療開始までの時間の短縮
インビザラインはアメリカで制作するマウスピース矯正になります。
従来の型取りの場合、型取りしたものをアメリカへ輸送していたため、型取りからマウスピース製作まで1~2週間ほどかかっていました。
光学スキャナーによる型取りは、データをインターネットで送信するため、型取り後マウスピース作成までの期間を短縮することが可能です。
まとめ
型取り中の負担が減り、さらに型取りの精度も上がるのが3D光学スキャナーになります。
しかし、データに対応している歯科技工所が少ないのが現状です。
そのため全ての型取りがiTeroで行えるわけではありません。
ご自身の型取りが光学スキャナーにて行えるかどうか気になるときはお気軽にご相談ください。
また、マウスピース矯正の相談も随時受け付けております。
この相談ではiTeroを使用して簡易的な審査診断を行い、矯正前後での変化をモニター上で一緒に確認します。
こちらも、興味がありましたらお気軽にお声がけください。