歯周病の治療と定期健診について


以前、歯周病がどのような疾患なのかお話しました。

また、歯周病が高血圧や糖尿病、心臓疾患など全身の健康にも関わるということもお伝えしました。

今回はそんな厄介な病、「歯周病の治療と定期健診」についてお話したいと思います

 

目次

  1. 歯周病についておさらい
  2. 歯周治療の基本的な流れ
  3. 定期健診
  4. 定期的に撮影するレントゲン写真から分かること
  5. まとめ

 


1.歯周病についておさらい


歯周病とは歯茎付近の汚れの中の菌によって引き起こされる歯周(歯茎や歯を支えている骨の)疾患です。

進行すると歯茎の腫れや痛み出血が起こり、重症化すると歯の周りの骨が吸収され、揺れ始めます。

骨が大きく吸収された場合、自然に抜けたり、抜歯が必要にな場合もあります。

歯周病の検査は、プローブと呼ばれる器具で歯と歯茎の間の溝の深さ(歯周ポケット)、出血の有無などを調べます。またレントゲン写真で骨の吸収などが起こっていないかを確認します。

 

 


2.歯周治療の基本的な流れ


 

歯周組織検査

歯周ポケットの深さを確認します。

健康な歯茎の場合ポケットの深さは1~3㎜です。

歯周病が進行し、歯茎が腫れている場合や、骨が吸収されていると、ポケットは4㎜より深くなります。

 

※4mm以上のポケットも歯周病治療(クリーニング)をすることによって改善します。

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クリーニング

超音波スケーラー等の器具を用いて歯の表面の、硬くなった汚れ(歯石)や汚れを落とします。

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ブラッシング指導

セルフケアで普段から磨き残しがないよう、磨きにくい場所の指導や、磨き足りていない場所などの指導を行います。

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歯周組織検査

治療開始後、歯肉の状態が改善しているか確認を行います。

 ↓ 【歯肉の状態が改善しているときは定期健診へ】

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)

歯茎の中の歯周ポケットの深いところに汚れ(歯石)があるときは、歯茎の中の歯石取りを行います。歯石の量によっては複数回かかることもあります。

周病が進行している場合や、歯茎の炎症が強い場合には痛みを伴うことがあるため、希望があれば麻酔をすることも出来ます。

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歯周組織検査

↓ 【歯肉の状態が改善しているときは定期健診へ】

改善があまり見られない部位がある場合、再度クリーニング、または必要に応じて専門的な外科処置を行うこともあります。

 

歯肉の状態や、口腔内環境によって順番が入れ替わることもありますが、基本的にはこのような流れで治療を行っていきます。

定期的に健診やクリーニングをすることで、汚れが付きにくくなるため、通院する回数も減らすことができます。

 

 


3.定期健診


当院ではこのようなチェックシートを用いて、各々に必要な定期健診の期間を定めています。

定期健診の期間によって、定期健診での内容が少し変わってきます。

①1or2か月後の定期健診

プラークを染め出し、まずはブラッシングで落とせるように歯磨き指導を行います。

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専用の機械を用いてクリーニングを行います。

歯肉からの出血や、プラークの付着が多い場合等、ほかにもリスク要因が多い方に推奨します。

一回の検診の所要時間は30分ほどです。歯茎の検査はおおよそ3か月おきに行います。

歯茎や口腔内環境の改善がみられると定期健診の期間は長くなります。

②3or4か月後の定期健診

歯茎の検査

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(検査時の出血が多い時や、プラークの付着が多い時はプラークを染め出し歯ブラシ指導)

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専用の機械を用いてクリーニングを行います。

出血が少なく、プラークも少ない場合等、歯周病のリスクの少ない方に推奨します。

一回の検診の所要時間は45分ほどです。

 

このように、チェックシートを元に必要な頻度で来ていただき、その方にあった適切なケアを行うよう心がけております。

①の場合も②の場合も、お口の中の状況を確認するために1~2年に1度のレントゲン写真撮影を推奨しています。

当院では状況に応じて定期健診の期間を定めていますが、基本的には年に2~3回の健診をお勧めしています。

 


4.定期的に撮影するレントゲン写真から分かること


  • ・虫歯の有無(特に詰め物や被せ物の入った歯の虫歯は視診のみでは判別は難しいです)
  • ・歯と骨の位置関係、骨の吸収の有無
  • ・神経のお部屋の処置後の歯の根の先の感染の有無や、大きさの変化
  • ・完全に生える前の親知らずの位置の変化

などが分かります。

また、定期的にレントゲン写真を撮影することでレントゲン写真同士を見比べることが可能となります。

経過を観察している病変の変化に気づくことができ、また、改善しているところを見つけることも可能となります。

何よりも虫歯や、歯周病の早期発見には欠かせません。

 


5.まとめ


歯周病はただ歯肉が腫れる病気ではありません。骨を失い、歯も失います。

歯も骨も失うと元に戻すことは出来ません。

虫歯でも歯周病でも失わないよう心がけていきましょう。

その為にも、今回お話した歯周病の治療、定期健診で歯周病と虫歯のチェック、クリーニングを行いましょう。

また、保険外診療になりますがPMTCというクリーニングのメニューがあります。

歯の表面の菌を殺菌し、フッ素を塗布を行うことで予防効果を高めます。

ご興味のある方は一度お声がけください。