前回、オーラルフレイル、口腔機能低下症についてお話ししました。
本日は改善方法についてお話ししたいと思います。
目次
オーラルフレイル、口腔機能低下症についておさらい
「オーラルフレイル」とは、噛んだり、話したりするための口腔機能が低下した状態をいいます。
お口の機能の低下は体全体の老化の始まりと言われています。
- ・口腔内の不衛生(口腔不潔)
- ・お口の中が乾く(口腔乾燥)
- ・むせることが増える(嚥下機能低下)
- ・嚙み切れなくなってきた(咬合力低下)
- ・食べこぼしが増えた・話しにくく感じるようになった(舌口唇運動機能低下)
- ・食べ物がお口の中に残ることが増えた・薬が飲みにくくなる(低舌圧)
- ・食べ物が噛みにくくなってきた(咀嚼機能低下)
7つの症状のうち3つがみられると口腔機能低下症という病気になります。
改善方法
・口腔不潔
舌を湿った状態にしてから舌ブラシ(歯ブラシ)を奥から前方へ3回程度撫でるような力でかき出します。
最後にうがいをして終わりになります。
舌磨きは強い力でごしごしと何度も行ってしてしまうと舌を傷つけて粘膜が剥がれたり、出血してしまうことがあります。
剥がれた粘膜や、血液が口臭の原因の餌(タンパク質)となり、口臭の原因となります。
1日1回、撫でるような力で行うよう気を付けてください。
・口腔乾燥
まず、口呼吸をしないよう気を付けましょう。
また、唾液の分泌を促すことも大切です。
唾液が減った時の対策については、こちらをご覧ください
・嚥下機能低下
飲み込む力の改善には、口の周りの筋肉のトレーニングです。
まずは大きく笑いましょう。
笑うことでお口の周りの筋肉を使うことが出来ます。
また、余裕があるときは「あいうべ体操」を行ってみてください。
〇あいうべ体操
①「あー」と口を大きく開け1秒間キープ
②「いー」と口を横に出来る限り広げ1秒間キープ
③「うー」と大きく前に突き出すように唇をとがらせて1秒間キープ
④「べー」と舌を顎先に向かって延ばしながら(あっかんべー)1秒間キープ
これを10回1セットで1日3回行うと効果的です。
あいうべ体操はお口の周りの様々な筋肉を鍛える事ができます。
舌圧の低下の改善、予防にもなります。
・咬合力低下
市販のガムやグミを噛むことでトレーニングすることができます。
お砂糖は虫歯の原因になります。
キシリトールを使用したもので虫歯対策も行えると良いかもしれません。
歯にお痛みがあったり、揺れていたりするとしっかり咬むことができません。
まずは歯を失わないようにすることが重要です。
歯を失わないよう定期健診、治療をしっかり受けましょう。
各々のお口に合ったセルフケアが行えるよう歯磨き指導を受けることもお勧めします。
・舌口唇運動機能低下
先ほどお話した「あいうべ体操」が効果的です。
また、「パ」「タ」「カ」「ラ」のような舌を使う発音も効果があります。
舌の動きを意識して行ってみてください。
・低舌圧
スプーンやアイスの棒などを舌に押し当てます。
押し返すように下に力を入れてください。
様々な方向から行うとより効果的です。
また、舌の運動も効果的です。
〇舌の運動
①舌を前に出す
②出した舌を左右に動かす
③舌で唇をゆっくり舐める
各々3回ずつ行いましょう。
舌の筋肉を鍛えることで唾液も出やすくなり、口腔乾燥や嚥下機能の改善予防にもなります。
・咀嚼機能低下
しっかり咬めるようガムやグミで噛む力を鍛えましょう。
噛むための筋肉を鍛えても、噛む歯がなければ咀嚼機能は改善しません。
虫歯、歯周病の治療で歯を失わないよう気を付けましょう。
歯を失っても、きちんと治療を受ければ咀嚼機能は改善します。
詳しくはこちらをご覧ください
まとめ
1つの訓練を行うことで様々な機能の改善、予防につながります。
いきなり多くの訓練を取り入れても続かなくては意味がありません。
出来る事からコツコツと。
慣れてきたら少しずつ増やしていく。
毎日続けることが重要です。
フレイルが進み、社会との関りが減ってしまうと、気持ちも落ち込んでしまうと思います。
楽しく健康に過ごすためにも日々の生活に取り入れてみるのはいかがでしょう?