睡眠とお口の関係について


「まだ朝でないのに目が覚めてしまった」

「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」

このような経験がある方は多いのではないでしょうか。

実はお口が、睡眠にも関係しています。

本日は睡眠とお口の関係についてお話したいと思います。

 

質の良い睡眠とは


  • ・床に就いたらす~っと寝付く事ができる
  • ・夜中に目が覚めない
  • ・朝になったら快適に目が覚める

この三つがそろうと質の良い睡眠となります。

そのためには眠りの深さのバランスが良いことが重要です。

 


ノンレム睡眠とレム睡眠


「ノンレム睡眠」「レム睡眠」という言葉を聞いたことがあると思います。

睡眠の状態を表す言葉で、各々に重要な役割があります

  • ノンレム睡眠:脳や体を休め、疲労を回復させる
  • レム睡眠:脳は活発に動いており、記憶を整理したり固定する。また、嫌な記憶を捨てる

夢はレム睡眠中に見ています。

「年を取ると夢を見なくなる」と言われますが、これは子供の成長には「レム睡眠」が重要と言われており、大人に比べ子供のほうが「レム睡眠」が多く、高齢になると「レム睡眠」が減少するからです。

私たちの睡眠はノンレム睡眠から始まり、レム睡眠に切り替わります。

これらを90分周期で一晩で4~5回繰り返しているとされています。

つまり、7時間前後の睡眠が適切な睡眠時間となります。

少なければ睡眠不足となり、仕事や生活の質の低下へと繋がります。

長すぎると生活リズムを崩すきっかけとなることがあるため気を付けてください。

ただ、睡眠時間には個人差があり、また、年齢とともに短くなっていきます。

昔みたいに長時間寝られない、というのは生理現象です。

7時間に満たなくても日中過度な眠気がなければ質の良い睡眠が適切な時間とれていると言えるため、安心してください。

 


眠りの深さ


ノンレム睡眠」は脳や体を休める睡眠ということもあり、深い眠りですが、この深さは4段階に分けられます。

睡眠は「ノンレム睡眠」から始まるとお話しましたが、浅い睡眠(ステージ1、2)から始まります。

徐々に深くなり(ステージ3、4)、また浅くなりレム睡眠へと移行していきます。

ここまでが一周期で、およそ90分で行われています。

ちなみに成人の場合、ステージ3、4の深い眠りが一晩で15~20%、レム睡眠が20%あるのが理想的なパターンとなります。

夜中に目が覚めやすいのは「ノンレム睡眠」の浅い睡眠(ステージ1、2)のときで、いったん目が覚めると寝付くのは難しく、寝付けてもまた浅い睡眠からスタートとなります。

夜中に何度も目が覚めるときは深い睡眠が十分にとれていないと考えられます。

 


睡眠とお口


深い眠りを妨げる原因が実はお口の中にもあります。

  • ・睡眠中の歯ぎしり、食いしばり

朝起きたときに「顎が疲れている」「顎がだるい」と感じる場合は睡眠中に歯ぎしりや強く噛み締めてしまっている可能性があります。

ご自身の歯ぎしりが原因で夜中に目が覚めてしまうこともあります。

  • ・いびき

いびきは、空気がのど通るとき、様々な理由で狭くなったのどが振動し音が出ている状態です。

仰向けで寝ているとのどを支えている筋肉が緩み、のどが狭くなります。

加齢によりのどの筋肉の衰えや、肥満、飲酒、また、咽頭扁桃が腫れたときや鼻炎で鼻が詰まっているときなどがいびきを引き起こします。

また、睡眠時無呼吸症候群もいびきをかきます。

  • ・睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に何度も呼吸が止まったり,浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。

レム睡眠時やステージ1、2の浅いノンレム睡眠時に無呼吸になるため、目が覚めやすくなります。

深い眠りへの移行が難しく、レム睡眠が少なくなることもあります。

  • ・睡眠中の口呼吸

正常な呼吸は鼻から行われます。

鼻の粘膜からは一酸化窒素がでています。

この一酸化窒素は肺胞を開く働きがあるため、鼻から呼吸を行うと酸素の取り込みを高める事ができるため、全身にしっかりと酸素を送り届ける事ができるようになります。

また、口呼吸はのどを狭めてしまい、いびきをかきやすくなり、深い眠りを妨げる可能性があります。

  • ・お口の中の痛み

痛みがあるとなかなか寝付けなかったり、熟睡することが難しくなりします。

虫歯や歯周病、智歯周囲炎(親知らずの痛み)は快眠を妨げてしまいます。

 


まとめ


睡眠の質の低下は大人だけではありません。

日中の眠気を訴える子供が増えてきています。

実際、他の先進国に比べ日本の子供の睡眠時間は短く、就寝時間も遅い傾向にあります。

睡眠は心身の発達にとても重要です。

「質の良い睡眠」が、「適切な時間取れている」か、気にかけてください。

最近ではいびきをかいているお子さんで、睡眠時無呼吸症候群のお子さんも見られます。

もちろん鼻炎や風邪症状で一時的ないびきの場合もあります。

頻繁にいびきをかいているような時は、睡眠外来の受診をお勧めいたします。

睡眠の質の改善についてはまた次の時に詳しくお話したいとおもいます。