睡眠の質の改善のためにできること


前回は睡眠とお口の関係についてお話しました。 

  • ・睡眠中の歯ぎしり、噛みしめ 
  • ・睡眠時無呼吸症候群 
  • ・睡眠中の口呼吸 
  • ・お口の中の痛み 

これらが睡眠の質を下げる原因になっていることがあります。 

本日は睡眠の質の改善のために出来る事についてお話したいと思います。 

 

睡眠中の歯ぎしり、食いしばりの改善


歯ぎしり、食いしばりを放っておいてしまうと歯はすり減りや、ヒビが入ってしまうことがあります。 

また顎への負担が大きくなると、顎の痛みや開口障害(口が開けられない)など顎関節症を引き起こすことがあります。 

しかし睡眠中の歯ぎしり、食いしばりを完全にやめる方法は現在のところありません。 

歯、顎への負担を軽減することが重要になります。 

マウスピース(ナイトガード)を就寝時に着用し歯、顎への負担を減らします。 

また、近年では歯ぎしり、食いしばりの治療のため口や顎周囲の筋肉(噛む筋肉)にボトックス注射をうつ病院も増えてきました。

歯ぎしり、食いしばりを行っていても力がかかりすぎないようにします。 

 


睡眠時無呼吸症候群の改善


睡眠時無呼吸症候群は何かしらの理由により軌道が狭くなったり、閉じてしまうことで無呼吸や低呼吸になってしまいます。 

  • ・CPAP(シーパップ療法)(持続陽圧呼吸療法) 

装置からホース・鼻マスクを介し、空気を気道に送り、常に圧力をかけて気道が塞がらないようにする治療方法です。 

 

  • ・マウスピース装置 

睡眠時にマウスピースを装着し、下あごを前方に固定して空気の通り道を開くようにする治療法です。 

 

  • ・生活習慣の改善 

肥満が原因になっている方は、減量をすることで症状の軽症化が期待できます。 

また、アルコールは筋肉を緩める作用があり、睡眠中に気道を狭くしやすく、睡眠時無呼吸を引き起こしやすくしてしまいます。 

また、眠りも浅くなるため、睡眠の質の低下に繋がりやすくなるため、減酒を心がけてください。 

 


睡眠中の口呼吸


自分が口呼吸をしている、と自覚をし、常に意識することで改善が見られることもあります。 

  • ・睡眠中口にサージカルテープを貼る。 

口の中央に縦に貼り、全部覆ってしまわないように気を付けてください。 

また、鼻の疾患(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻の骨格的な問題等)がある方は呼吸ができなくなるため、問題ないのか耳鼻科にてご相談後行うようにしましょう。 

  • ・口の周りの筋肉を鍛える 

口呼吸の人は唇や口の周りの筋肉が弱い方が多いです。 

これは筋肉が弱いと唇を閉じることが出来ず、開きっぱなしになってしまうことが関係しています。 

「あいうべ体操」や口の周りの筋肉のトレーニングを行い、自然と口を閉じられるようになると鼻呼吸へ移行することが多くみられます。 

 


お口の痛み


痛みの伴う虫歯は、神経の部屋に到達するような大きな虫歯になります。 

定期健診を行うことで歯周病の悪化を防ぎ、虫歯も大きくなる前に発見、治療することが可能になります。 

定期健診を受けお口の健康に気をつけることが快眠へと繋がり、全身の健康へと繋がります。 

 


快眠のために気を付けるとよいポイント


  • ・日中の活動量を増やす 

快眠のために、日中運動をし、適度に体を疲れさせましょう。 

 

  • ・入浴はぬるま湯で、就寝2時間前までに終わらせる 

眠気の条件の一つに脳の温度の低下があります。 

就寝直前の入浴、特に熱いお湯は交感神経(体が活動しているときに働く神経)を優位にしてしまい、眠気が起こりにくくなります。 

一方ぬるま湯は、皮膚の毛細血管が開き体表から体温が奪われていくため、眠気を誘いやすくします。 

朝の熱いシャワーは交感神経が優位になるため、目覚めをよくします。

 

  • ・夜の照明は電球色が良い 

部屋の明るすぎる明かりは寝つきを悪くしています。 

昼白色や昼光色は眠気を引き起こすホルモン・メラトニンの分泌を妨げてしまうため、夜間には適していません。 

 

  • ・朝目覚めたら太陽の光を浴びる 

人の体内時計は25時間周期になります。 

1日の周期とおよそ1時間のずれがあります。 

朝太陽の光を浴びることでこのズレをリセットすることが出来ます。 

また、朝太陽の光を浴びることとでメラトニン(眠気を引き起こすホルモン)が分泌されます。 

分泌は光を浴びてから15~16時間後になるので就寝時間帯になります。 

天気が悪くても、朝起きたらまずカーテンを開けて太陽の光を浴びるようにしましょう。 

 

  • ・寝酒、深酒は行わない 

お酒を飲むとよく寝られると思われている方もいらっしゃるかと思いますが、アルコールを飲むと途中で目が覚めやすくなります。 

寝つきはよくなりますが、深い眠りが得られにくくなるため、「寝られないから」とお酒を飲むのはお控え下さい。 

 

  • ・朝食にたんぱく質をしっかり摂る 

食品中のたんぱく質にはトリプトファンという成分が多く含まれています。 

このトリプトファンとは体内で最終的に眠りのホルモンであるメラトニンに変化します。 

朝食でたんぱく質を食べると夜になるころにメラトニンに変わるため、快眠へと繋がります。 

 

  • ・スマホやPCは就寝2時間前までに終わらせる 

スマホやの画面からはブルーライトと呼ばれる波長の短い光が出ています。 

波長の短い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられるため、眠気が起きにくくなったり、質の良い睡眠を妨げてしまいます。 

 

  • ・睡眠専門のクリニックを受診 

ぐっすり眠れないと感じている原因として睡眠障害の可能性もあります。 

専門家に相談することで睡眠障害の裏に潜む疾患を早期に発見できることもあります。 

 


まとめ


睡眠は体の疲れを取り、免疫力にも影響を及ぼします。 

免疫が下がってしまうと、お口の中でも細菌が活発になり痛みが出ることがあります。 

もちろん、風邪をひきやすくなる、ということもあります。 

生活するうえで睡眠は基本的な事になります。 

いびきや食いしばり、お口の痛みなどで快眠をさまたげられている、と感じる時は一度ご相談ください。