「食べるのが遅い」
「噛まずに丸呑みしている」
「食べるときにくちゃくちゃ音がする」
未就学児のお子さんをお持ちのお母さん、お父さん、の約半数が上記の様なお食事についてのお悩があるそうです。
実は、お食事中の悩みには「食べる姿」や「お口の動かし方」も関わっています。
本日は「お子さんの食事に必要な要素」についてお話したいと思います。
食べるために必要な事
- ・形態
- ・機能
- ・意欲
食べるために必要な事を挙げたとき、専門家の視点ではこの3つが良く挙げられます。
しかし他にも大切なことがあります。
- ・食べる姿勢 です。
形態
食事は、歯の生えていないころ、なめらかにすりつぶしたポタージュ状の食べ物からはじまります。
慣れてくると、バナナや豆腐など舌で押しつぶせるようになります。
その後歯が生えてくると、ペースト状の物から、刻んだ形状のものが食べられるようになります。
前歯が生えそろったごろには、スティック状の野菜も自分で手で掴みながら食べられるようになってきます。
奥歯は生えそろう頃には離乳食も終了し、幼児食になっていきます。
ここで大切なのが、食べるために必要な歯が生えているか、噛めるかみ合わせかどうか、です。
神経に到達するような大きな虫歯により、急に食事の量が減った、ということもあります。
そのようなときは歯の治療を行うと食事量は戻ります。
このことから、「健康な歯かどうか」も大切という事が分かるかと思います。
機能
健康な歯が生えていても、お口を上手に動かせなくてはお食事は出来ません。
物を噛むときや飲み込むとき、舌全体を上方に押し上げます。
舌の筋力が上手に発達していないと、舌は疲れやすく、食べる意欲・食べる量に影響を及ぼしてしまうこともあります。
意欲
食事をおいしく感じると、心が豊かになり、食べる意欲を引き出します。
「好きな物だとよく食べる」と感じるのは、食べる意欲が引き出されているからです。
大人も、綺麗に盛り付けられているものと、そうでないものを出されたとき、たとえどちらも味はおいしかったとしても「食べたい」という気持ちは変わってくるかと思います。
食べ物は唾液と混ざることで味を感じられるようになります。
「おいしい」と感じると、脳内にセロトニンなどのホルモンが分泌され「幸せ」と感じます。
ドーパミンが分泌されると頑張ろうとやる気(食べる意欲)が引き出されるのです。
食べる姿勢
椅子に対して机の高さが高すぎたり、体に対して椅子の高さが高すぎると、
- ・机が高すぎ腕が自由に動かせない、動かしにくい
動かしにくい中一生懸命動かそうとすることに疲れてしまい、食べる意欲がなくなってしまいます。
- ・お皿の中が見えない
食事を目で楽しむことができず、意欲を引き出しにくくなってしまいます。
- ・足の裏が床につかない
飲み込むときは、一回息が止まり気管が塞がり、食道が開きます。
その瞬間は一瞬とはいえ緊張状態になります。
その緊張状態の時、足の裏が地面に触れず安定していないと飲み込みにくくなってしまいます。
- ・背中が丸まっている(猫背)
背中が丸まり体が前に傾いていると、体幹が不安定になり、お口周りの筋肉をリズミカルに動かすことが難しくなります。
良くない姿勢でのお食事は食べる意欲を引き出せなかったり、機能面でも食べる事を妨げる原因になってしまいます。
まとめ
乳児期を含め子どもの食事は身体(体の部分)の発達だけでなく、心身(体の動作や精神、視覚聴覚など)の発達にも重要な役割があります。
必要量をしっかり食べるためには食べる機能の発達が重要になります。
食べる機能は自然に育っていくものではなく、基本的に食べることで発達していきます。
しっかりお食事をとるための正しい姿勢についてはまた次回お話したいと思います。