こんにちは。東京都世田谷区北沢にある医療法人社団 燦陽会 下北沢駅前歯科クリニックです。
「歯の矯正治療に興味があるけれど、痛いイメージがある」など、なかなか一歩が踏み出せない方は多いのではないでしょうか。歯の矯正治療は年単位で行われるため、不安に思うのも無理はありません。
歯の矯正治療は痛いという漠然としたイメージを持っていても、どのような痛みがいつまで続くのか、対処法はあるのかを理解している方は多くありません。
今回は、歯の矯正治療ではどのような痛みが生じるのか、痛みが生じるタイミングはいつなのか、どれくらいの期間痛みが続くのかを詳しく解説します。痛みへの対処法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
歯の矯正治療は痛いの？
歯の矯正治療にはいくつか種類がありますが、代表的なのはワイヤー矯正とマウスピース矯正です。歯の矯正治療をする場合、できるだけ痛みを抑えたいと思うかもしれませんが、どちらの矯正方法を選んでも痛みを伴います。
矯正治療による痛みは、虫歯のようにズキズキとした鋭い痛みではありません。歯が押されて圧迫されることで痛いと感じます。
痛みの感じ方には個人差があるため、痛みを強く感じる方もいれば、あまり痛みを感じない方もいます。歯の矯正治療で生じる痛みの主な原因は、歯の移動によるものです。
歯が適切な位置へ移動する過程で生じる痛みであり、治療が順調に進んでいる証拠ともいえます。矯正治療の進展を示すポジティブな兆候と捉えることができれば、痛みにも前向きに対応できるかもしれません。
歯の矯正治療で痛みが出るタイミング
ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらの方法を選ぶかによって、痛みの程度は変わります。一般的に、ワイヤー矯正のほうが痛いと感じやすいとされています。
しかし、痛みが出るタイミングは基本的に同じです。歯の矯正治療中、常に痛みがあるわけではありません。
痛みが出るタイミングは、以下のとおりです。
歯が移動するとき
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、歯の矯正治療では歯が移動するときに痛みが生じます。歯の矯正治療は、顎の骨の吸収と再生を利用して進められます。
歯は歯槽骨という顎の骨の中に埋まっており、指で押した程度では動きません。矯正装置を使用して適度な力が持続的に加わることで、歯が少しずつ移動します。
矯正装置によって移動した歯に押された歯槽骨は溶けて吸収され、同時に反対側に新たな歯槽骨が形成されることで、歯が少しずつ移動するのです。歯槽骨が溶ける際に、プロスタグランジンという物質が放出されますが、プロスタグランジンの作用によって押されるような痛みや圧迫されるような痛みが生じます。
一般的に、ワイヤーの調整は月に1回、マウスピースの交換は1～2週間に1回行います。ワイヤーの調整後や新しいマウスピースに交換した直後は、歯が移動しやすく痛みが生じやすいです。
通常、ワイヤーの調整・マウスピースの交換後の痛みは3～6時間で徐々に出現し、痛みのピークは約36時間後といわれています。1枚のマウスピースで移動させる歯の距離は最大0.25mmなので、ワイヤー矯正に比べて痛みが少ない傾向にあります。
しかし、痛みがまったくないわけではありません。
矯正装置が口腔内の粘膜に当たっているとき
頬の内側、舌、歯肉などの粘膜に矯正装置が当たると、口内炎や口腔内の傷の原因となります。口腔内が傷つくと痛いと感じるでしょう。
特にワイヤー矯正の場合、歯の移動に伴ってワイヤーが少しずつ露出し、余分なワイヤーが頬の内側に刺さることがあります。ワイヤー矯正で歯の表面に取り付けられるブラケットが粘膜に当たる場合も、痛いと感じる原因となります。
マウスピース矯正の場合、矯正装置が当たって痛いと感じることは少ないでしょう。マウスピースの縁が歯肉に当たって痛いと感じることはありますが、口内炎などのトラブルはワイヤー矯正と比較すると起きにくいです。
食べ物などを噛むとき
歯が移動する痛みを感じている間は、食事などで歯を噛み合わせることが刺激となり、痛みが生じることがあります。特に、矯正治療を開始した直後や、ワイヤーの調整後、新しいマウスピースに交換したあとは、痛みが強くなる可能性が高いです。
虫歯や歯周病があるとき
矯正治療は通常、すべての虫歯の治療が完了してから開始されますが、矯正装置を装着している間は歯磨きが十分にできないため、虫歯や歯周病になるリスクがあります。
特に、ワイヤー矯正は矯正装置を取り外せないため、歯磨きを十分に行えず、口腔内を清潔に保つことが難しいです。マウスピース矯正は食事や歯磨きの際に一時的に外せるため、ワイヤー矯正と比べて口腔内の清潔を保ちやすいでしょう。
ただし、口腔内やマウスピースの清潔を保つことは重要です。マウスピースにも唾液や飲み物などの汚れが付着するため、汚れが残ったまま使用し続けると歯周病になる可能性があります。
歯の矯正治療中の痛みはどれくらい続く？
歯の矯正治療中、強い痛みが長く続くことはほとんどありません。一般的に、矯正器具を装着・調整してから3～6時間ほどで歯が移動する痛みを感じ始めます。
2～3日間は強い痛みを感じやすいですが、徐々に痛みは和らぎ、1週間ほどで気にならなくなることが多いです。食べ物を噛むときの痛みも同様です。
痛みが長く続く場合は、矯正器具が当たっている、虫歯や歯周病になっているなど、何らかのトラブルが起きている可能性があります。
歯の矯正治療中の痛みへの対処法
歯の矯正治療で生じる痛みについて、痛みが生じるタイミングや痛みが続く期間についてご説明しました。矯正中の痛みは必ず生じるものであり、避けられません。
しかし、少しでも軽減させたいと思う方は多いでしょう。歯の矯正治療中の痛みへの対処法について、詳しく解説します。
痛み止めを服用する
矯正器具を装着・調整してから数日間の強い痛みに対しては、痛み止めを服用するのが効果的です。
ただし、痛み止めの種類によっては、矯正による歯の移動に影響を及ぼす可能性があります。必ず担当の歯科医師に処方してもらいましょう。
歯の矯正治療は、炎症を起こして歯を移動させます。炎症を抑える作用がある痛み止めを服用すると、矯正治療の進行に遅れが生じる可能性があるのです。
柔らかい食べ物を食べる
食べ物を噛むときに生じる物理的な刺激によって痛みが引き起こされるため、歯に負担がかかる硬い食べ物は避けてください。柔らかい食べ物を食べるようにしましょう。
特に矯正治療開始直後や矯正器具を調整したあとは、歯の移動や装置による圧迫が最も強い時期で痛みも強く感じられます。痛みがある期間は、おかゆやうどんなどの柔らかい食べ物を選びましょう。
矯正治療の期間中、常に食事が制限されるわけではありません。矯正装置の装着・調整後1週間程度で痛みは和らぐため、少しずつ通常の食事に戻すことができます。
矯正器具が口腔粘膜に当たらないように調整する
ワイヤーが当たって痛いと感じる場合は、我慢せずに担当の医師に相談して、ワイヤーの長さを調整してもらいましょう。矯正装置が頬の内側や歯肉、舌、口内炎に当たって痛い場合は、矯正用ワックスの使用が効果的です。
矯正用ワックスとは、矯正装置が粘膜に当たる部位につける保護剤です。口腔内の粘膜を保護して痛みを軽減します。
矯正ワックスは市販されているものもありますが、担当の医師に相談してから購入し、使用することが望ましいです。
虫歯や歯周病にならないようにケアを徹底する
虫歯や歯周病による痛みを予防するために、日々の歯磨きと矯正装置のお手入れをしっかり行いましょう。
ワイヤー矯正の場合、矯正装具を外せないので歯磨きを難しく感じる方が多いです。磨き残しのないように丁寧に歯磨きをしましょう。歯のすき間や矯正装置の周辺を重点的に磨くことが大切です。
マウスピース矯正の場合は、食事や歯磨きの際に一時的に矯正装置を外すことができるため、いつもどおり歯磨きができます。
ただし、マウスピース矯正の場合は、歯磨きに加えてマウスピースの洗浄をしっかり行う必要があります。専用の洗浄液を使用してもよいでしょう。
歯科医師に相談する
夜も眠れず食事も摂れないほどの痛みが4日以上続く場合は、担当の歯科医師に相談してください。矯正装置を調整することで痛みを緩和できる場合があります。
治療期間が長くなる可能性はありますが、痛みを軽減して治療することができます。
歯の移動による痛みではないズキズキとした痛みを感じる場合、虫歯になっている可能性があるでしょう。虫歯が疑われる場合は、矯正治療よりも虫歯の治療を優先するのが一般的です。
虫歯かもしれないと感じたら、早めに担当の歯科医師に相談しましょう。
まとめ
一般的には、ワイヤー矯正よりもマウスピース矯正のほうが、痛みが少ないとされています。
しかし、どちらの矯正方法を選んでも、歯が移動する際の痛みは避けられません。
痛みの原因やタイミングを理解していれば、痛みが生じた際に適切に対応できます。痛みに対して必要以上に不安を感じず、歯の矯正治療に前向きに取り組むことができるでしょう。
痛みには個人差があるため、痛みが強い場合や不安がある場合は、担当の歯科医師に相談してください。担当の歯科医師とコミュニケーションをしっかりとることも、歯の矯正治療をスムーズに進めるために大切です。
歯の矯正治療を検討されている方は、東京都世田谷区北沢にある医療法人社団 燦陽会 下北沢駅前歯科クリニックにご相談ください。
