こんにちは。東京都世田谷区北沢にある医療法人社団 燦陽会 下北沢駅前歯科クリニックです。
喫煙は体の健康にさまざまな悪影響を及ぼしますが、お口の中の健康においても同様です。喫煙は、インプラント治療にもさまざまな悪影響を及ぼします。喫煙習慣がある場合、インプラント治療を断られることも珍しくありません。
しかし、喫煙習慣があってもインプラント治療を受けたいと考えている方もいるでしょう。
今回は、喫煙がインプラントに及ぼす悪影響や、喫煙者でもインプラント治療を受けることができるのかを解説します。
目次
喫煙者でもインプラント治療は受けられる？
喫煙者でも、インプラント治療は受けられます。
ただし、少なくともインプラントの治療中は禁煙しなければなりません。可能であれば、インプラント治療後も禁煙を続けることが望ましいです。
詳しくは後述しますが、喫煙はインプラント治療に悪影響を及ぼします。ヘビースモーカーとよばれるほどの喫煙習慣がある方は、インプラント治療を受けられない可能性もあります。
電子タバコや加熱式タバコの場合は？
近年では、電子タバコや加熱式タバコを使用している方も多いでしょう。蒸気を吸い込むタイプの電子タバコは、タバコの葉を使用しないためニコチンを含んでいないことが多いです。
しかし、ニコチンの代わりにほかの有害物質が含まれているため、紙タバコと同じように禁煙期間が必要な場合があります。
加熱式タバコは、タバコの葉を加熱して蒸気を発生させるため、ニコチンやタールが含まれています。紙タバコに比べるとニコチンの量は少ないとされていますが、インプラント治療に悪影響を及ぼす可能性が高いため、控えたほうがよいでしょう。
喫煙がインプラントに及ぼす悪影響
タバコには、ニコチンやタールなどの有害物質が含まれています。ニコチンは血管を収縮させるため、体内に必要な酸素や血液が行き渡りにくくなります。
喫煙がインプラントに及ぼす悪影響は、主に以下の4つです。
・インプラントと骨が結合しにくい
・インプラント周囲炎になりやすい
・唾液の分泌量が低下する
・手術が失敗する確率が高まる
詳しく解説します。
インプラントと骨が結合しにくい
インプラントは、顎の骨としっかりと結合することでご自身の歯と同じように噛むことができるようになる治療です。インプラントと顎の骨がしっかりと結合しなければ、インプラント治療は成功しません。
インプラント治療では外科的な手術を行うため、免疫力と治癒力が必要といえます。インプラントを埋め込んだ部分の顎の骨が増殖することで、インプラントはしっかりと固定されます。
タバコに含まれるニコチンは免疫力を低下させ、血流を悪くするでしょう。回復に必要な血液や酸素が十分に患部に行き届かないため、インプラントと顎の骨が結合しにくい状態になるのです。免疫力が低下するため、手術後の傷の治りも悪くなるでしょう。
インプラント周囲炎になりやすい
インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の歯茎が炎症を起こして、インプラントを支えている顎の骨を溶かす病気です。基本的には、歯周病と同じ症状が現れます。
喫煙習慣がある方は、ニコチンの影響で血流が悪化して免疫力も低下しやすいため、細菌が増殖しやすいです。インプラントは人工物なので、天然歯に比べて細菌への抵抗力が低いといわれおり、インプラント周囲炎になると進行が早いので注意が必要です。
インプラント周囲炎が進行すると、インプラントが次第にぐらつき、最終的には脱落する可能性があります。喫煙者のインプラント周囲炎の発症率は、非喫煙者に比べて高いことが報告されています。
インプラント周囲炎は、インプラント治療が失敗する最大の原因です。初期段階では自覚症状が乏しく進行が早いので、予防することが非常に大切です。
唾液の分泌量が低下する
ニコチンは、免疫力の低下や血流の悪化を招くだけでなく、唾液の分泌量も低下させます。
唾液には、口内の乾燥を防いで細菌の増殖を抑える作用や、口内の汚れを洗い流す作用があります。そのため、唾液の分泌量が減少すると、口内で細菌が増殖してインプラント周囲炎や細菌感染を引き起こしやすくなるのです。
インプラントの問題だけでなく、ご自身の歯の虫歯や歯周病のリスクも高まります。
手術が失敗する確率が高まる
喫煙者の男女を対象にしたインプラント治療後の調査では、1,933症例のうち1年以内にインプラントが脱落した症例は90件（約5%）と報告されています。喫煙者がインプラント手術を行った場合、非喫煙者に比べると、1年以内に脱落する確率が2倍ということです。※1
また、合併症発症率は非喫煙者の場合31％、喫煙者の場合46％と、非喫煙者に対して喫煙者は高い数字が示されています。※2
喫煙習慣があると、インプラントと顎の骨が結合せず、インプラント治療が失敗する確率が高まります。手術が成功したとしても、喫煙を続けると合併症の発症率が高まるので、インプラントの脱落につながる可能性があるでしょう。
※1参照元：福田仁一 著「喫煙と口腔病変との関連」
※2参照元：特定非営利活動法人日本歯周病学会 禁煙推進委員会「喫煙の歯周組織に対する影響」
インプラント治療中だけでなく治療後も禁煙すべき？
インプラントの治療中は禁煙できても、治療が無事に終わるとタバコを吸いたくなる方は多いでしょう。
しかし、インプラント治療において大切なのは、治療後も喫煙をしないことです。喫煙は血流を悪くし、免疫力の低下や唾液の分泌量の減少を招きます。インプラント周囲炎を起こしやすく、インプラントのぐらつきや脱落の原因となります。
インプラントを長く快適に使用するには、治療後も禁煙しなければなりません。
喫煙しているとインプラント保証の対象外になることも
インプラント治療では、5～10年程度の保証期間が設けられていることが一般的です。保証期間内にインプラントの破損や脱落が起きた場合は、無償もしくは減額で再治療を受けられます。
しかし、喫煙習慣がある方はインプラント周囲炎を発症するリスクが高いです。インプラントに悪影響を及ぼすため、喫煙している場合は保証の対象外とする歯科医院が多いです。
インプラント治療後の口腔ケアとメンテナンスの重要性
インプラントは、手術をして人工歯を装着したら終わりではありません。インプラントを長く快適に使い続けるには、正しい口腔ケアとメンテナンスが必要不可欠です。
口腔ケアやメンテナンスを怠った場合に起こり得るトラブルを確認しましょう。
インプラント周囲炎になる
インプラント治療後の口腔ケアを怠ると、インプラント周囲炎になるリスクが高まります。インプラントの周囲の組織が炎症を起こす病気ですが、進行するとインプラントを支える顎の骨が溶かされます。
インプラント周囲炎の主な原因は、プラークが蓄積されることです。口腔ケアを丁寧に行い、ご自宅では落とせない汚れをメンテナンスで除去してもらえば、インプラント周囲炎を予防できるでしょう。
インプラントを維持できなくなる
インプラント治療後のケアが十分に行われていない場合、インプラントを維持できなくなることがあります。特に、インプラント周囲炎が進行するとインプラントが脱落する可能性があるのです。
自然と脱落することは稀ですが、症状が進行したことで維持できなくなり、抜去が必要になることもあるでしょう。顎の骨が溶かされており、量や厚みが不十分な場合は再治療も受けられません。
インプラントを長期にわたって維持するためには、日頃の口腔ケアと定期的なメンテナンスが重要といえます。
保証を受けられなくなる
上述しましたが、インプラント治療には保証が設けられているのが一般的です。
ただし、定期的にメンテナンスを受けていることを保証の条件にしている歯科医院が非常に多いです。口腔ケアやメンテナンスを怠っていなければ、保証を受けて無償、または一部負担で再治療を受けられるでしょう。
インプラント周囲炎などの問題が発生したときに、口腔ケアやメンテナンスが適切に行われていなかったことが原因だと判断された場合は、保証の対象外となる可能性があるのです。
インプラントは高額な治療です。トラブルが起こった際の負担を軽減するためにも、口腔ケアとメンテナンスはしっかりと行いましょう。
残存歯に影響を及ぼす
インプラント治療後のケアが不適切な場合、インプラントだけでなく周囲の残存歯にも悪影響を及ぼすことがあります。インプラント周囲の炎症や感染が、周辺の歯や歯茎に広がることがあるためです。
また、インプラントと天然歯の間の汚れをしっかりと落とせていないと、プラークや歯石の蓄積が進みます。虫歯や歯周病のリスクが高まるでしょう。
インプラントの問題は、口腔内全体に悪影響を及ぼします。残存歯の健康を守るためにも、インプラント治療後の口腔ケアとメンテナンスは重要なのです。
まとめ
喫煙者でも、インプラント治療を受けることはできます。
しかし、喫煙はインプラント治療にさまざまな悪影響を及ぼします。喫煙習慣の程度によっては、インプラント治療を受けられないこともあるでしょう。
タバコには、血管を収縮させる作用があります。十分な血液や栄養が行き届かなくなるので、免疫力が低下するでしょう。
唾液の分泌量も減少するので、インプラントや口腔内の健康によい影響を及ぼすことはありません。喫煙者のインプラント治療はリスクが高いことを知っておきましょう。
インプラント治療後は、口腔ケアとメンテナンスを怠らないことが重要です。
インプラント治療を検討されている方は、東京都世田谷区北沢にある医療法人社団 燦陽会 下北沢駅前歯科クリニックにご相談ください。
