口臭が気になる方は多いかと思います。
口臭は歯科に関するものが原因となっていることもあることはご存じですか?
本日は「口臭の原因となるお口の問題」についてお話したいと思います。
目次
口臭とは
口臭には「生理的な口臭」と「病的な口臭」があります。
- ・生理的な口臭
生理的な口臭とは誰にでもある、一時的な口臭で一日のうちに自然に増減します。
たとえば起床時の口臭や、食べ物・飲み物・タバコなどの摂取後などがこれに含まれます。
- ・病的な口臭
病的な口臭とは時間による変動はなく持続的に発せられる臭いです。
臭いの原因が無くならない限り口臭がなくなることはありません。
歯周病などのお口の病気や鼻炎、糖尿病や肝疾患など全身の病気(臭い物質が血液を巡り肺から息へと移ります)により起こります。
強い口臭が続くときはお口か全身に不調が起きている可能性があります。
口臭には臭いの種類があり、それによって原因も異なります。
口臭の原因物質
口臭の大部分はお口の中の気体によるものです。
その主な原因物質は「揮発性硫黄化合物」である硫化水素・メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドです。
- ・硫化水素
腐った卵のような臭いを発しています。
硫化水素とは温泉にも含まれていて、温泉街独特の「硫黄のにおい」の元になります。
主にプラークに由来する臭いになります。
- ・メチルメルカプタン
腐った玉ねぎのような臭いを発します。
主に歯周病に由来し、歯周病菌の代表であるPg菌により生み出されます。
メタンチオールとも呼ばれます。
- ・ジメチルサルファイド
生ごみや腐ったキャベツのような臭いを発します。
身体の病気や持病のお薬の影響で発生しやすい傾向があります。
お口の中の口臭の原因
〇溜まったプラーク(主に硫化水素)
たった数グラムのプラークの中には何億もの細菌がいると言われています。
除去されずに残ったプラークが臭いの元となります。
歯と歯の間や歯と歯茎の境目のプラークは虫歯や歯周病の原因となります。
〇穴の開いた虫歯(主に硫化水素)
虫歯が進行し、穴があいてしまうとその穴に食べかすやプラークが溜まりやすくなります。
そのままにしてしまうと口臭の原因だけでなく虫歯の進行の原因にもなります。
〇歯周病(主にメチルメルカプタン)
歯周病は初め痛みや違和感もなく進行していきます。
歯周病が進行したとき、病原性の強いPg菌も増えてきます。
歯周病になっている認識がないと、「気付かないうちに不快な口臭が発生していた」ということもあります。
歯周病の進行や、歯の根が割れてしまったり、噛み合わせ不良などで歯周ポケットが局所的に深くなることがあります。
深いポケットには歯ブラシが入らないため、プラークや歯石はどんどん蓄積されていきます。
このような場所は強い臭いのもととなりやすいです。
〇舌苔(主に硫化水素)
舌苔とは舌の表面に付着した汚れのことです。
舌の表面は細かな突起がたくさんあります。
その隙間に剥がれ落ちたお口の粘膜や食べかすなどが蓄積したものです。
白色や薄黄色をしています。
うっすらとした舌苔は誰もがあります。
厚く蓄積すると細菌の温床となり不快な口臭の元となります。
〇汚れた入れ歯(主に硫化水素)
日々のお手入れをさぼると入れ歯にもプラーク(デンチャープラーク)や歯石はつきます。
デンチャープラークの中にも当然細菌は存在するため、不快な口臭の原因となります。
入れ歯のピンク色の部分を床と呼びます。
この床は細かな傷かつくことがあるのですが、傷の部分にプラークは付着しやすいです。
つまり、古い入れ歯は傷がついている分、汚れが付きやすいとも言えます。
保険外診療になりますが、床が金属の物もあります。
金属の物のほうが汚れはつきにくくなります。
〇つけっぱなしの仮歯
仮歯とは、本番の被せ物ができるまでの間、歯に被せておく仮の被せ物です。
しかし仮歯を付けた後、噛めるようになったからと、治療を中断し仮歯をそのまま使用する方がいらっしゃいます。
仮歯はプラスチックでできているため、長期間使用すると表面に傷がつきます。
傷ついたところはプラークが付着しやすくなります。
また、長期の使用で歯と仮歯の間に隙間が空いてしまい、その隙間にプラークが入り込むことがあります。
仮歯を外すと強い臭いと、食べかすや汚れが出てくることもあります。
まとめ
口臭の原因となるプラークは、お口に長く残るほど硬くなっていきます。
硬くなった汚れはやがて歯石になります。
歯石になってしまうと、歯科医院で専門的な道具を使用しないと落とせなくなります。
歯石の表面はザラザラしているため、プラーク、細菌が付着しやすくなり、さらに汚れが溜まりやすくなります。
プラークは口臭の原因だけでなく、虫歯や歯周病の原因です。
そうならないように定期健診を受けるよう気を付けましょう。