前回、前々回と2回に分けてイヤイヤ期までの仕上げ磨きの目的、コツについてお話ししました。
その際、歯磨き中の事故、ケガについて少しふれました。
本日は「子供の歯磨き中の事故」についてお話ししたいと思います。
自分磨きを始める時期
子どもの歯磨きは、「保護者の歯磨きのみ」、「子供の歯磨きのみ」、「子供が磨いてから保護者が仕上げ磨き」の3パターンになります。
1歳~5歳では、「子供が磨いてから保護者が仕上げ磨き」が最も多いケースとなります。
つまり、早い子では1歳から自分磨きを始めている、ということになります。
これは、お子さん自身の興味が歯磨きをすることに向いた、ということです。
興味を持たないお子さんに無理に自分で磨かせる必要はありません。
だいたい2歳頃になると、フォークやスプーンがうまく使えるようになってきます。
お食事が上手になってきた、と感じるときが自分磨きがスムーズに行えるようになるタイミングとも言えます。
歯磨き中の事故
- ・事故件数
東京消防庁によると、2016年から2020年までの5年間に、自分磨き中にケガをして搬送された5歳以下の乳幼児は194人でした。
年平均にすると約40人。
この数字はここ10年大きな変化は見られません。
- ・年齢
事故にあうのは3歳前半までが多く、特に1~2歳がピークです。
2016~2020年の間に、1歳は87人、2歳は58人と実に全体の7割以上を1歳2歳が占めています。
- ・重症度
けがの重症度をみてみると、194人のほとんどが軽傷です。
しかし、一部には生命の危機が強いと診断される子や、生命の危機はないが入院を要すると判断される子もいます。
原因
- ・転倒
最も多いのが転倒です。
先ほどと同じ東京消防庁のデータでは68%と実に半分以上が転倒となります。
この結果は子供には転びやすい原因があるからです。
子供は2歳頃まで胸囲より頭囲の方が大きいです。
そのため、重心が上のほうにあり不安定です。
また、下半身の成長も未熟なため、転倒しやすいです。
さらに、体全体に対して頭部が重いため転倒したときは頭からぶつかりやすくなってしまいます。
この時期の体も骨も柔らかいため、普通大きなけがはあまりありません。
しかし転んだ時に何かしらの物つまり歯ブラシなどを持っていると重大な事故へとつながりかねません。
また、転倒に至った状況を見てみると歯ブラシをくわえて「立っていた・歩いていた」「走っていた」が多いです。
- ・ぶつかる
二番目に多いのが人や物にぶつかることです。
歯ブラシをくわえながら動いたときに手をぶつけてしまい歯ブラシが喉の奥にあたってしまいます。
歯ブラシをくわえておらず手に持っていても目に突き刺さってしまうことも考えられます。
1~3歳では自分から動いて周りにぶつかってしまうことが大半です。
歯磨き中の歩き回りが多いことに関係していると考えられます。
まとめ
転倒にしろ、ぶつかるにしろ歯磨き中の事故のほとんどは「自分磨きの最中に歩き回っているとき」に起こっています。
そのことを知っている保護者は3割程度と言われています。
ちなみに、保護者1000人の聞き取り調査によると、4人に3人のお子さんが歩き回っているそうです。
実に多くのお子さんがいつ事故にあってもおかしくない状況ということがわかります。
次回は、事故を防ぐためにできることについてお話ししたいと思います。