こんにちは。東京都世田谷区北沢にある医療法人社団 燦陽会 下北沢駅前歯科クリニックです。
歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨に炎症が起こる病気です。初期段階では自覚症状が少ないものの、放置すると歯の喪失につながります。
また、近年では、歯周病と全身の健康との関連性も注目されています。歯周病が全身疾患の発症や進行に関与している可能性があるとされ、口腔内のケアが全身の健康維持に役立つとの報告もあります。
しかし、「歯周病は口の中の問題ではないの？」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、歯周病と全身疾患との関係について解説します。歯周病予防のためにできることもご紹介するので、参考にしてください。
目次
歯周病とは
歯周病とは、歯と歯ぐきの間に蓄積したプラーク（歯垢）に含まれる細菌が原因で引き起こされる、炎症性の病気です。初期段階では歯肉炎と呼ばれ、歯ぐきが腫れたり、出血したりする程度の症状しか現れませんが、治療せずに放置すると歯周炎へと進行します。
歯周炎になると、歯を支える骨（歯槽骨）が徐々に吸収され、最終的には歯のぐらつきや脱落を招くことがあります。
歯周病の進行は静かで、自覚症状が少ないまま進行するのが特徴です。腫れや出血、口臭などの軽度な異変に気づいて早めに対処すれば、歯周組織を守ることができるでしょう。
しかし、放置して重症化すると、治療が長引くとともに、生活の質にも大きな影響を与えることになります。そのため、毎日丁寧なケアを心がけたり、定期的に歯科検診を受けたりして、歯周病の早期発見・予防に努めることが大切です。
歯周病が引き起こす全身疾患とは
近年の研究によって、歯周病が歯茎や歯を支える骨だけではなく、体全体の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるということが明らかになってきました。また、病気ではありませんが、妊娠中の女性が歯周病になった場合、早産や低体重児の出生リスクを高めることもわかっています。
歯周病による感染が子宮収縮を促す物質を増加させ、子宮を刺激するためです。特に、重度の歯周病では、そのリスクが高まるとされており、妊娠中はもちろん、妊娠前からの口腔ケアが重要です。
ここでは、歯周病によって引き起こされる全身疾患について詳しく解説します。
心筋梗塞
心筋梗塞は、冠動脈が詰まり心筋に血液が届かなくなることで発生する病気の1つです。歯周病によって炎症反応が起こると、動脈硬化を促進する可能性があるとされています。そのため、歯周病を予防・改善することが、心筋梗塞のリスクを下げることにつながるのです。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が動脈硬化によって狭くなったり血栓によって閉塞したりすることにより、酸素不足により脳の細胞が死滅する病気です。歯周病の炎症物質が血流に乗って全身を巡ることで動脈硬化を促進し、脳梗塞を引き起こすリスクが高まると考えられています。
特に、歯周病が重度にまで進行している方は、血栓ができやすく脳梗塞のリスクが高いとされています。
糖尿病
糖尿病と歯周病は相互に深く関係しています。歯周病による慢性的な炎症がインスリンの働きを妨げ、血糖コントロールを悪化させることがわかっており、糖尿病がある人は歯周病にかかりやすいだけでなく、進行も早いです。
そのため、糖尿病治療を受けている人は定期的に歯科検診を受け、歯周病のリスクを軽減することが求められます。
認知症
近年の研究では、歯周病と認知症との関連性が注目されています。歯周病菌が脳に到達すると、炎症反応を引き起こし、アルツハイマー型認知症の促進につながると考えられており、口腔内の健康状態が認知機能にも影響を及ぼす可能性があります。
歯周病を予防するために自宅でできること
歯周病は沈黙の病とも呼ばれ、症状がゆっくり進行するため、気づかないうちに悪化していることも少なくありません。歯周病を予防するためには、歯磨きなどのセルフケアを続けることが大切です。
以下で紹介する自宅でできる予防法を日常的に取り入れて、歯周病を予防しましょう。
正しい歯磨き
歯周病予防の基本は歯磨きです。ただし、自己流の磨き方では、十分な効果は期待できません。正しい磨き方で磨くことが大切です。
歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境に45°の角度で当てて、小刻みに動かすようにしましょう。1本1本磨くように意識することが大切です。
また、歯を磨くときに鏡を使って歯並びや歯茎の色・出血の有無などを毎日チェックする習慣を付けることも有効でしょう。
デンタルフロスや歯間ブラシの活用
歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間の汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシで除去すると良いでしょう。
デンタルフロスは、歯と歯の側面をなでるように動かし、プラークや食べかすを掻き出すことができます。歯間が狭い部分や接触が多い部分などにはデンタルフロスが効果的です。慣れるまでは使いにくいかもしれませんが、使い方をマスターすれば毎日のケアに大きく貢献します。
歯間ブラシは、歯と歯の間に隙間がある方や、歯周病治療中の方に特に推奨されるアイテムです。サイズが合っていないと十分な効果が得られないため、歯科医院で自分に合ったサイズを確認するとよいでしょう。
生活習慣の見直し
歯周病は生活習慣とも密接に関係しています。例えば、喫煙は血流を悪化させ歯ぐきの免疫機能を低下させるため、歯周病のリスクを大きく高めます。
また、食事の内容や時間、ストレスの度合いも歯ぐきの健康に影響を与える要因です。糖分の多い食事は歯周病菌の栄養源となるため、間食の習慣が多い方は注意が必要です。睡眠不足や過度なストレスも免疫力を下げ、歯周病の進行を助長します。
歯周病を防ぐためには、バランスの取れた食事や十分な睡眠、ストレス管理を心がけることが大切なのです。
歯周病を予防するために歯科医院で行うこと
歯周病の進行を食い止め、口腔内の健康を維持するためには、日常のセルフケアに加えて歯科医院での専門的なケアも不可欠です。自己判断だけでは見過ごすリスクが高く、歯周組織の状態を正確に把握し適切な対処を行うには歯科医師によるサポートが必要です。
以下では、歯科医院で行われる代表的な予防ケアについて詳しく解説します。
定期検診・歯周ポケットの測定
歯周病は初期段階ではほとんど自覚症状がないため、気づきにくいです。そのため、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが重要です。定期的な歯科医院での検診では、歯周病の進行度を測定するため歯周ポケットの測定を行います。
歯周ポケットが深くなっている場合、歯周病が進行している可能性があります。症状が現れる前に早期に発見するためには、定期的な検診が欠かせません。
歯のクリーニング
歯科医院では、歯周病予防のために歯のクリーニングも行われます。歯のクリーニングでは、歯磨きでは落とせないプラークや歯石、着色汚れなどを専用の器具を使って徹底的に除去します。
ブラッシング指導
歯科医院では、患者さま一人ひとりのお口の状態に合わせたブラッシング指導が行われます。まずは染め出し液でプラークを視覚化し、磨き残しの多い部分を把握してもらいます。
そのうえで、正しい歯磨きの仕方を実践できるよう、丁寧に指導します。日常のセルフケアを充実させることで、歯周病の予防につながるでしょう。
生活習慣や全身疾患との連携管理
歯周病は口腔内だけの問題ではなく、全身の健康や生活習慣とも深く関係しています。喫煙や糖尿病、ストレスなど、歯周病を悪化させる要因には注意が必要です。
歯科医師は、こうした背景も含めて患者さま全体を把握し、必要に応じて内科医との連携を図ることもあります。歯周病の予防には、日々のブラッシングだけでなく、全身の健康管理も含めたトータルなアプローチが重要になります。
まとめ
歯周病は歯や歯ぐきだけの病気ではなく、全身疾患とも深く関係しています。糖尿病や心疾患、脳疾患、さらには早産や認知症など、多岐にわたるリスクが存在し、見過ごせない問題です。
歯周病を予防するためには、毎日の歯磨きや食生活、生活習慣の改善が大切です。また、歯科医院での定期的なチェックやクリーニング、ブラッシング指導などプロのケアも不可欠です。
自分の健康を守るためにも、歯周病対策を生活に取り入れ、口腔から全身の健康を守りましょう。
歯周病の治療を検討されている方は、東京都世田谷区北沢にある医療法人社団 燦陽会 下北沢駅前歯科クリニックにご相談ください。
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