今回は「歯周病」についてお話ししたいと思います。
目次
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1.健康な歯周組織
歯周病についてお話しする前にまず、「健康な歯周組織」について簡単にお話しします。
歯周組織とは、
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- 歯肉(歯茎)
- 歯槽骨(歯を支える骨)
- セメント質(歯の根)
- 歯根膜(歯槽骨とセメント質を着けるコラーゲン繊維)
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の4つから構成されています。
また、健康な歯茎とは、ピンク色で引き締まっており、歯ブラシ時に出血は見られず、歯肉と歯の間の溝の深さ(歯周ポケット)は1~3mmです。
2.歯周病とは
歯茎付近の歯の汚れが原因で歯周組織が炎症を起こしている状態をいいます。
感染が広がると、歯を支える骨を溶かしていく病気です。酷くなると、「腫れて膿が出る」、「歯がぐらつき物が咬めなくなる」、「歯が抜ける」などの症状が見られます。
現在、日本人の30歳以上の8割が歯周病にかかっていると言われています。
3.歯周病の進行と症状
歯周病は、大きく歯肉炎、歯周炎に分けられます。また、歯周炎は進行度合いにより、軽度、中度、重度に分けます。
①歯肉炎
歯肉が赤色になり腫れます。
ブラッシング時に出血が見らます。
歯周ポケット:2~3mm
骨の破壊はまだないため、治療を行うことで正常な歯茎に戻すことができます。
②軽度歯周炎
歯肉の色が赤色~赤紫色になり、さらに腫れます。
歯ブラシ時に出血が見られます。
歯周ポケット:2~4mm
深くに付着している汚れが歯根膜や骨に広がり壊し始めます。
③中度歯周炎
歯肉の色が赤色~赤紫色になり、さらに腫れます。
歯ブラシ時に出血が見られます。
歯周ポケット:4~6mm
感染が広がり、骨が半分くらいまで壊され揺れ始めます。
④重度歯周病
歯肉が赤紫色になります。
歯ブラシの時に出血、また膿が出ることもあります。
歯周ポケット:6mm以上
骨の破壊が半分以上まで進み、歯がグラグラと揺れます。
酷くなると自然に抜け落ちたり、抜歯が必要になります。
歯茎の炎症を改善することは可能ですが、少しでも壊された骨は元に戻すことは出来ません。
そして骨がなくなり深くなった歯周ポケットに入り込んだ汚れは、ご自身では落とす事ができません。汚れが停滞することで歯周病はどんどん進んでいきます。
軽度でも、歯周病にならないよう気を付けることが重要です。
4.歯周病の検査
①レントゲン検査
骨の状態をしらべます。歯周病が進行すると骨を溶かし、歯の周囲の骨の位置が変わってきます。レントゲン写真で骨のなくなった範囲、程度を知る事ができます。
②プロービング検査
歯と歯茎の溝の深さを調べる検査です。メモリの付いた器具を歯と歯茎の間にそっと差し込み、歯茎の入り口から溝の一番深いところまでの距離を測ります。深さのみでなく、検査時の出血の有無等も確認します。
ほかにも歯の揺れや歯の汚れの付いている場所や量を見ます。
5.まとめ
一度溶けた骨は元に戻ることは出来ません。もし、歯周病によって骨が溶けてしまった場合、今後は、それ以上骨を溶かさないことが重要になってきます。
骨が解けた部分はポケットが深くなります。治療を行うことで歯茎の腫れや、それに伴い歯周ポケットの深さも改善は見られます。しかし、歯周ポケットが深ければ、その中に付着した汚れは、放っておいてしまうと、感染(歯肉の腫れ、炎症)を繰り返します。
この汚れはセルフケアで取り去ることはできないため、定期的に歯科医院に来ていただき、専用の機械を使ってお掃除することが大切です。