以前口臭についてお伝えした際、唾液の減少について少しお話ししました。
本日は唾液についてお話ししたいと思います。
目次
1.唾液の働き
まずは唾液の働きについてお話ししたいと思います。
- ・自浄作用
歯の表面などについた食べ物を洗い流します。
- ・湿潤・保護作用
舌・頬・口唇の運動を滑らかにし、発音・咀嚼・嚥下を助ける働きがあります。頬っぺたなどの粘膜を保護する働きがあります。
- ・殺菌作用
唾液には抗菌作用のある成分が含まれています。この作用によりお口を通って細菌が体の中に侵入するのを防いでいます。
- ・消化作用
炭水化物を分解する作用があります。ご飯をたくさん噛むと甘くなってくるのは炭水化物が唾液によって分解されるためです。
- ・緩衝作用
プラークの中の虫歯菌は、砂糖などの炭水化物を分解し酸を作ります。そのため、プラークの中は酸性になります。 プラークが付着している歯の表面も酸にさらされ、歯の表面が溶かされていきます。 唾液には酸性に傾いたお口の中を中和する働きがあります。 この緩衝作用の働きが強ければ強いほど虫歯になりにくい環境といえます。
- ・再石灰化作用
酸性に傾くと歯の表面からカルシウムが流れ出てしまいます。 緩衝作用により酸性に傾いた環境が中和されると唾液に流れ出たカルシウムがまた歯の表面に取り込まれていきます。 その際、唾液中のカルシウムの濃度が高いと再石灰化が起こりやすくなります。 唾液にはカルシウムの濃度を高く保つ成分が含まれており、再石灰化が起こりやすい環境を保っています。
緩衝作用、再石灰化作用についてはこちらもご参照ください。
2.唾液の減少による症状
- ・口がねばつく、乾く
- ・話しづらい
- ・食事しづらい
- ・口臭が気になる
- ・寝ていると口が乾燥している
- ・口内炎ができやすい
- ・入れ歯が合わなくなる、口の中が傷つきやすい
- ・虫歯や歯周病になりやすい。悪くなりやすい
- ・舌の表面がつるっとしていたり、荒れている
- ・舌が痛い
唾液の減少により生じる異変は多岐にわたります。
3.唾液が減る原因
唾液は自律神経という神経の指示により唾液腺というところで血液から作られます。
- ・自律神経の不調
- ・唾液腺の損傷
- ・血液の問題
によって唾液は減ります。
- ・自律神経の不調
ストレス、精神疾患、更年期障害、薬の副作用(咳・痰・鼻水を抑える薬、高血圧の薬など多数) 等
- ・唾液腺の損傷
シェーグレン症候群、唾液腺の病気(唾石症や唾液腺腫瘍) 等
- ・血液の問題
糖尿病・腎疾患などの代謝性疾患、薬の副作用(カルシウム拮抗薬、利尿薬)、脱水 等
原因の特定には唾液量の測定、唾液腺の画像検査、血液検査など様々な検査を行う必要があります。
薬を服用することで口の渇きを感じるようになる場合があります。その様な場合でも自己判断で薬を中止してしまうと危険です。必ず薬を処方した先生に相談してください。
4.唾液が減った時の対策
- ・唾液腺の刺激
よく噛んで食べることや、唾液腺のマッサージなどで唾液腺を刺激することで作られる唾液の量を増やす事ができます。
詳しくはこちらを参照ください。
- ・規則正しい生活を送る
睡眠時間や食事の時間が不規則になると自律神経のバランスが乱れてしまいます。バランスが整うよう規則正しい生活を心がけましょう。
- ・唾液の蒸発をさせない環境作り
少なくなってしまった唾液を蒸発させないことが重要です。 「部屋の湿度を上げる」、「鼻から息を吸う」、鼻が詰まって寝られない時などはマスクをつけて寝るのも一つの方法です。
- ・コーヒー・紅茶・アルコールは控えめに
カフェインの入った飲み物やアルコールには利尿作用あります。 体の水分が減ると唾液の元の血液も減ってしまいます。 お好きな物でも少し控え、お水やノンカフェインのものを飲むよう心がけましょう。
5.まとめ
唾液には多くの役割があります。
そのため、唾液が減ると感じる不快な症状は様々です。
会話がしにくくなったり食事を楽しめなくなることで生活の質の著しい低下の一因になってしまいます。
唾液腺のマッサージやよく噛むよう心がけるなど、生活のちょっとした工夫で口腔乾燥感の改善につながります。
不調を感じている時はお一人で悩まず、ご相談ください。