以前、顎の痛みについてお話した時、顎関節症の原因(要因)の一つに嚙み合わせ不良があることをお話しました。
本日は噛み合わせ不良についてお伝えしたいと思います。
目次
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1.理想的な噛み合わせ
不良な噛み合わせについてお話する前にまず、理想的なかみ合わせについてお話します。
①上下の前歯の位置関係
噛んだ時の上下の歯の位置関係を「オーバージェット」、「オーバーバイト」という言葉で表します。
オーバージェット、オーバーバイト共に2~3㎜が理想的と言われています。
・オーバージェット
上下の前歯の前後的な関係のことです。
出っ歯(上顎前突)のときはこの数値が大きくなり、受け口(下顎前突)のときはマイナスになります。
・オーバーバイト
上下の前歯の歯の垂直的な関係のことです。
前歯が深くかぶさっているとこの数値が大きくなります。 マイナスになるときは前歯が噛み合っていない状態です。
②上下の奥歯の位置関係
歯一本に対し、反対の歯2本が噛み合います。例えば、上顎の前から4番目の歯は、下顎の前から3番目と4番目の歯と噛み合います。
③歯列の形
歯の大きさに対し十分なスペースがある歯列かどうかスペースが足りないと歯同士が重なります。
上下ともにU時のアーチの形になっていると理想的です。
また、下の歯列は上の歯列の内側にあります。
2.嚙み合わせ不良とは
1.でお話した状態が保たれない状態のことです。
つまり、上下の歯がうまくかみ合わず、物をかみ砕く効率が悪い状態です。
他にも発音や飲み込み、関節、身体のバランスなど、全身に影響を与えます。
3.噛み合わせ不良によって引き起こされる影響
・虫歯、歯周病になりやすい
歯並びが悪いと歯の間などに食べカスが溜まりやすく、また清掃不良もなりやすくなります。 咀嚼効率が悪くなることで咀嚼回数も減り唾液の量が減ります。
清掃不良に唾液量の減少により虫歯、歯周病のリスクが上がります。
噛み合わせのバランスが悪く、部分的に負担がかかりすぎると歯周病も悪化する原因となります。
・肩こり、頭痛
顎は大きな筋肉に支えられています。
嚙み合わせが悪いと咬筋や側頭筋などの咀嚼筋のバランスが悪くなるため、起こることがあります。
・力が入らない
スポーツ選手は食いしばることで力を発揮していることをご存じの方もいらっしゃると思います。 奥歯の嚙み合わせが悪いと食いしばることができなくなるため力を入れることが難しくなります。
・胃炎や大腸炎などの胃腸障害
嚙み合わせが悪いと咀嚼効率も悪くなり、食べ物が良く噛めずに飲み込むことになります。 よく咀嚼されていない食べ物を消化するため胃や大腸の負担が大きくなり不調が起こりやすくなります。
・顎関節症のリスクが上がる
しっかりと噛み合う歯や、全く接触しない歯等があると、噛み合わせのバランスが悪くなり顎への負担が増えます。
・耳、鼻、喉の疾患
出っ歯や受け口の人は口を閉じるのが困難な事があり、口から呼吸することが増えることがあります。 そのため鼻炎や扁桃炎など耳鼻咽喉の症状が出やすくなることがあります。
4.噛み合わせのセルフチェック
①唇の閉じ具合のチェック
上と下の歯が触れないように上唇と下唇を軽く合わせてください。 (平常時、上下の歯が触れあっていない状態が正常な状態です。詳しくはこちらをご覧ください。)
- ・唇が閉じず歯が見えてしまう方
- ・上の前歯が下唇を噛んでしまう方
- ・上唇が下唇に隠れる方
このような方は注意が必要です。
②奥歯のチェック
奥歯でしっかり噛みながら歯を確認できるように人差し指で頬を広げてください。
- ・上の歯と下の歯の間に大きな隙間があり、舌が見える方
- ・一部分でも下の歯が上の歯より外側にある方
このような方は注意が必要です。
③左右のバランスチェック
割りばし一膳を横向きにして、前歯で噛んでください。
- ・割りばしが水平にならず斜めになる方
は注意が必要です。
5.まとめ
鏡の前で歯を見ると前歯が気になってしまうと思います。しかし、よく噛むためには奥歯の噛み合わせが重要になります。
噛み合わせが悪いと全身に不調が表れてしまうほど噛み合わせは重要です。
症状や、セルフチェックを行った時など、気になることがある時はお気軽にご相談ください。