最近、「お食事の時に飲み込みにくくなった」、「むせるようになった」「口の中が乾きやすい」「薬が飲みにくくなった」と感じることはありませんか?
このような症状がみられるとき、「オーラルフレイル」もしくは「口腔機能低下症」かもしれません。
本日は「オーラルフレイル、口腔機能低下症について」お話ししたいと思います。
オーラルフレイル
「フレイル」という言葉が、高齢によって社会とのつながりや、認知機能、筋力などが低下した状態のことを指します。
つまり、「オーラルフレイル」とは、噛んだり、話したりするための口腔機能が低下した状態をいいます。
筋力の低下は、社会活動や他者とのつながり、交流が減ったり、口の機能が衰えること(オーラルフレイル)で始まると言われています。
活舌が悪くなり、お食事がしにくいと感じることで、人との交流の減少につながります。
つまり、オーラルフレイルとは老化のサインつまり、全体的なフレイルの進行の始まりとされています。
オーラルフレイルが進行すると「口腔機能低下症」という疾患になります。
口腔機能低下症
口腔機能低下症とは、主な原因は加齢ですが、加齢以外にも様々な原因により口腔内の機能が低下していく疾患です。
〇症状
- ・口腔内の不衛生(口腔不潔)
お口の中の細菌が多い状態です。
誤嚥性肺炎のリスクが上がります。
- ・お口の中が乾く(口腔乾燥)
唾液の量が減ってくると、汚れを流したり(自浄作用)、細菌を殺す(殺菌作用)等の唾液の働きが弱まってきます。
- ・むせることが増える(嚥下機能低下)
加齢により、物を飲み込む筋肉が弱くなると、飲み込むための動きがスムーズに行えなくなりむせやすくなります。
- ・嚙み切れなくなってきた(咬合力低下)
加齢だけでなく、歯周病や虫歯等により、歯を失うことで噛む力が弱まってしまいます。
- ・食べこぼしが増えた・話しにくく感じるようになった (舌口唇運動機能低下)
口の周りも多くの筋肉があり、唇や舌を動かしています。
筋肉の衰えにより口が閉じにくくなり食べこぼしが増えたりする状態です。
- ・食べ物がお口の中に残ることが増えた・薬が飲みにくくなる(低舌圧)
物を飲み込むとき舌が上顎の触れる力(舌圧)が弱くなると食べ物や薬が飲み込みにくくなります。
- ・食べ物が噛みにくくなってきた(咀嚼機能低下)
口の開け閉め、噛みこみを行う筋肉が衰えると硬い物が噛みにくくなったり、噛み切りにくくなります。
以上の7項目中、3つ以上当てはまると口腔機能低下症となります。
〇検査
- ・口腔不潔
舌苔という舌の汚れの付着具合で不衛生を評価します。
- ・口腔乾燥
口腔水分計と呼ばれる機械で水分量を数値化します。
また、乾燥したガーゼを2分間噛み、唾液をガーゼと共に取り出し、重量を計測する方法もあります。
- ・嚥下機能低下
嚥下機能の低下は嚥下障害の場合もあります。
そのため、嚥下のスクリーニングテスト(反復唾液嚥下テスト、頚部聴診法など)に加え、必要に応じて精密検査(嚥下造影検査や内視鏡検査など)を行うことがあります。
- ・咬合力低下
噛む力やバランスを見る事ができる検査キットを使用したり、残存歯の数で検査、評価を行います。
- ・舌口唇運動機能低下
被験者に「パ」「タ」「カ」の単音節をそれぞれ10秒間ずつにできるだけ早く繰り返し発音させて、1秒あたりの発音回数を測定する、オーラルディアドコキネシスという方法で評価します。
- ・低舌圧
舌圧を計測する機械を使用し、最大舌圧を計測します。
- ・咀嚼機能低下
グミゼリーを噛んだあと、水を含み吐き出します。吐き出した水のグルコースの濃度を計測し咀嚼機能を計ります。
また、グミゼリーの細かくなり具合で咀嚼機能を計る検査もあります。
まとめ
例えば、口腔衛生不良の方で、嚥下機能の低下がみられ、むせることが多い方は誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
咬合力が低下した方では食べられる食品に偏りが出てしまい、栄養不良ひいては全身の筋力低下にもつながります。
口唇、舌機能の低下により、お話がしにくい、と感じる方は、友人と会うことを避けたり、外出をさけ、社会性の低下を引き起こします。
このように口腔機能の低下による体への影響はとても大きいです。
そのため、お口の機能の低下は老化の始まりのサインと考えられています。
そして、症状が当てはまったとしても、ご安心ください。
生活習慣の改善やトレーニングにより少しずつ良くなります。
次回、詳しくお話したいと思います。