前回、お子さんの食事についてお話ししました。
お食事をするにあたって
- ・形態
食べるために必要な歯が生えているか、噛めるかみあわせかどうか
- ・機能
お口を上手に動かせるか
- ・意欲
食べたいという気持ちがあるか
- ・姿勢
食べるときの姿勢が機能や意欲を邪魔していないか
が重要とお話ししました。
今回はお食事中の正しい姿勢についてお話ししたいと思います。
目次
正しい姿勢とは
- ・机の高さが体にあっている
肘が90度に曲がるくらい
- ・椅子の高さが体にあっている
膝の角度が90度くらい
足の裏全体が床につく
- ・背もたれに寄りかからない
背筋が伸び、骨盤が立っている
- ・あごが上がらない
これらのことを気を付けることでお口の筋肉を動かしやすくなり良く噛めて、飲み込みやすくなります。
机の高さが体にあっている
食べることは手と目と口の協調運動になります。
机が高いと、手の位置も必然的に高くなり、動かしにくくなります。
また、子供の目線ではお皿の中のおいしそうなご飯が見えていないこともあります。
机に合わせて椅子の高さを調節し、食べやすい環境を整えてみてください。
調整ができない椅子の時はクッションを敷いてみてください。
椅子の高さが体にあっている
飲み込むとき、一瞬ですが体は緊張状態になります。
その際、足の裏が地面についていないと踏ん張れず、飲み込みにくくなります。
老人ホームでも、飲み込みやすくするために車いすの方の足元に硬い台を置き、誤嚥のリスクを下げることもあります。
これは幼児期でも同様です。
足が地面につかないときは台を置いて、しっかり踏ん張れるように調整してみてください。
その際、膝は90度くらいに曲がっているのが理想です
背もたれに寄りかからない
背筋を伸ばすと顔周りの筋肉やあごを動かしやすくなります。
これは、噛むときに使用される顔周りの筋肉や舌が、肩甲骨や胸骨につながっていることが関係しています。
背筋が伸びた状態だと体幹が安定しやすくなり、あごを動かしやすくなります。
あごが上がらない
食道と気管は前後に隣り合って存在しています。
顎を引いた状態だと、咽頭によって食べ物は気管に入りにくくなるような構造になっています。
顎が上がっていると、咽頭の向き(角度)が変わり、食べ物が気管に入りやすくなるため、誤嚥や窒息の危険があります。
高齢になりお口の機能が弱った時、正しい食事の姿勢を身に付けておくと将来的にも役に立ちます。
唇や舌の正しい位置
歯は唇や舌の力が釣り合ったところに並びます。
綺麗な歯並びは唇の力、舌の力、頬の力がうまく釣り合うことで出来上がります。
・唇の正しい位置
唇は「軽く閉じる」のが良い状態です。
少しでもあいていると唇からの力が弱くなり出っ歯になってしまいます。
・舌の正しい位置
上顎には上の前歯の少し後ろに歯茎のでっぱりがあります。
舌の先がそのでっぱり部分にあたり、舌全体が上顎にくっつくように上がっているのが良い状態です。
舌が下の前歯の裏側に当たっている場合、それは舌が低い位置にある(低位舌)状態です。
舌からの力が弱くなるため、上顎の成長がしっかり行われなかったり、頬からの力に負けてしまい歯が内側に傾くことになります。
もちろん舌や唇のバランスがとれていれば必ず良い歯並びになる、バランスが悪いと必ず歯並びも悪くなる、ということではありませんが、大きな要因であると考えられています。
また、低位舌の場合、舌を高い位置に挙げなくなるため、舌の筋肉が鍛えられなくなります。
舌の筋肉が弱くなると、舌はのどの奥に広がり気道を狭めます。
気道が狭まると呼吸がしにくくなり、口呼吸になることが多いです。
口呼吸は前述したように、正しい唇の位置ではありません。
舌・唇と食べる姿勢
前述したように、舌を動かす舌骨筋は胸骨や肩甲骨にも繋がっています。
背中が丸まってしまうと舌の筋肉も引っ張られてしまうため、舌がのどの奥に下がってしまいます。
姿勢を改善すると舌の運動の改善だけでなく、口呼吸の改善にもつながります。
まとめ
昔は祖父母も同居、大家族で一緒に食事をとること当たり前でした。
周りの大人が姿勢について指摘する場でした。
現在はお子さんが一人で食べていたり、横並びになってテレビを見ながらお食事をする家庭も多くあります。
昔は自然に行えていた「食べる姿勢の獲得」が難しくなってきているのかもしれません。
しかし、成長期の子どもはちょっとしたきっかけで劇的に改善することがあります。
噛み合わせや、歯の健康に問題があればサポートすることが可能です。
食べることのついてお悩みがあるときはかかりつけの歯科に相談してみるのはいかがでしょう?