酸蝕症について


「酸蝕症」という言葉を聞いたことがありますか?

日本人の4人に1人はこの酸蝕症と言われています。

本日は酸蝕症についてお話したいと思います。

 

酸蝕症とは


酸蝕症とは飲食物などの酸によって歯の表面を覆っているエナメル質が溶けてしまう疾患です。

虫歯は、歯の汚れ(プラーク)が蓄積した部分に起こります。

これはプラークの中にいる虫歯菌の作る酸によって歯が溶かされていくからです。

酸蝕症とは飲食物に含まれる酸によって歯が溶かされるため、酸性の飲食物が触れた個所全てで起こる可能性があります。

また、飲食物以外にも、ガラス工場、メッキ工場等お仕事で強い酸を扱う方にも見られます。

作業中の酸のガスや蒸気、ミストにより生じてしまうのです。

 


症状


  • ・歯が透き通る

前歯でみられます。

薄い歯が溶かされることでさらに薄くなり透き通って見えるようになるからです。

  • ・歯が丸みを帯びる

奥歯で見られます。

  • ・歯がへこむ

歯ぎしりなど力が加わることで噛む面の山のように尖っているところがへこみます。

  • ・歯の変色

酸蝕症が進むと歯が黄ばんできます。

これはエナメル質が溶けることで、中の象牙質の色が透けるようになるからです。

  • ・しみやすくなる。

エナメル質が溶かされ薄くなることで、痛みを感じる象牙質に刺激が伝わりやすくなります。

重度になると象牙質露出してしまうこともあります。

  • ・詰めたもの、被せたものが取れやすくなる。

詰め物の周りの歯が溶かされることで、隙間や段差ができるため、外れやすくなります。

 


原因


  • ・内因性の要因

内因性とは、体内から口の中に胃酸が出てきて起こるものになります。

・胃食道逆流症

・摂食障害

・つわり

  • ・外因性

外因性とは、体外のものが原因になって起こるものになります。

・酸性度の強い食品

・酸性の薬剤の使用

・工場で使用する酸性の強い薬品の蒸気

 

〇酸性度の強い食品

・みかんやグレープフルーツ、レモンなどの柑橘系の果物や果汁からつくられたジュース、梅干し

・ビタミンCなどを含む酸性のビタミン剤やサプリメント

・炭酸飲料、黒酢、栄養ドリンク、ワイン、スポーツ飲料

 


酸蝕症にならないために


  • ・ダラダラ食べ食べたり飲んだりしない

食べる頻度が多ければ、それだけ酸の影響が大きくなってしまいます。

  • ・唾液の緩衝能を増強する

唾液には酸性に傾いたお口の環境を中性に戻す働きがあります。

無糖のガムなどを食べると、唾液を積極的に出すように促します。

また、カルシウムやリンを含む食品(牛乳やチーズなど)を一緒、あるいは食後に食べると脱灰を阻害します。

  • ・寝る前の飲食を控える

就寝中は唾液の量が減ります。

そのため、中性に戻る時間が長くなり、再石灰化もなかなか行われなくなります。

とくにいびきがあったり口呼吸を行っているとお口が乾いて酸性の成分がお口に残りやすくなります。

  • ・酸性の飲食物を口にした後は水で口をゆすぐ

酸性の物を食べた後の歯は柔らかくなっています。

食後すぐにお水でゆすぎ、少ししてから歯磨きをするようにしましょう。

  • ・フッ素を使用する

フッ素には歯質を強くしたり、石灰化を促進する働きがあります。

虫歯だけでなく酸蝕症にも効果があります。

 


治療法


酸蝕症は予防が最も大切です。

予防を行っていても酸蝕症となってしまった場合、まずは原因の除去が必要です。

必要に応じて内科を受診していただくこともあります。

象牙質が露出したような場合は、歯の修復も必要になります。

症状に応じてコンポジットレジンでの修復や被せ物での修復を行います。

 


まとめ


酸蝕症で歯の噛む面がどんどん削れ、噛み合わせも変わってしまうこともあります。

噛み合わせの変化から顎関節症につながることもあります。

酸蝕症は予防と早期発見、早期治療が重要な疾患です。

また、原因の除去が行えていないとどんどん悪化してしまいます。

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