被せ物が割れたり、しょっちゅう外れてしまったり、歯がかけたこと、ありませんか?
そのトラブルの原因、歯ぎしりや上下の歯の接触癖(TCH)かもしれません。
本日は「歯ぎしり・TCHによって引き起こされるお口のトラブル」についてお話したいと思います。
「歯を傷める力」とは
- ・歯ぎしりの強い力
歯ぎしりは眠っている時に無意識に行うため、起きている時の様に力の加減ができないため、大きな力が歯にかかってしまいます。
歯ぎしりは、起きたとしても1時間に5~6回程度で、さらに短時間です。
しかし、歯ぎしりの力は強大で、さらに歯を左右に揺さぶるため、短時間であっても影響は大きなものです。
- ・上下の歯の接触癖(TCH)
食事や重たい荷物を持つとき以外では、上下の歯は本来離れています。
上下の歯を接触する癖をTCHとよびます。
TCHはごく弱い時間が長時間加わります。
TCHによって顎関節症や歯や入れ歯を傷つけてしまうこともあります。
「歯を傷める力」による痕跡
- ・歯が削れる
強い力でこすり合わせることで咬耗します。
ひどいと神経のお部屋まで到達してしまうこともあります。
- ・舌・頬圧痕
歯を接触させていると、舌や頬も歯に押し付けられます。
舌や頬にほっぺ側の歯の形が舌や頬に圧接され、跡が残ります。
- ・歯の移動
強い力で下から突き上げられることで前歯が前にせり出してきます。
歯周病で骨が少なくなった方に多く見られます。
- ・骨隆起
強い噛む力を受け止めるため、歯を支える顎の骨がコブ状に盛り上がります。
上顎は上顎の中央が盛り上がり口蓋隆起と呼びます。
下顎はベロ側にでき、下顎隆起と呼びます。
これらが見られる場合は、歯ぎしりやTCHがあることがわかります。
引き起こされるトラブル
〇被せ物が壊れやすい
- ・被せ物が欠ける
陶器のお茶碗は硬くしっかりしたもので、普通に使用しても壊れる事はありません。
しかし落としたり、強い力が加わると割れてしまいます。
セラミックを使った被せ物も同様で、歯ぎしりなどの強すぎる力に耐え切れず欠けてしまうことがあります。
- ・インプラントの被せ物が欠ける
インプラントは天然の歯と違い、根の周りにあるクッション(歯根膜)がありません。
そのため、強い力がかかった時被せ物が特に欠けやすくなります。
- ・被せ物が外れる
歯を失った時の治療法の一つであるブリッジは、土台の歯とダミーの歯がつながっている大きな被せ物になります。
大きい分、歯ぎしりの力の影響をもろに受けやすく、揺さぶられ、外れることも多々あります。
また、神経を取る治療を行った歯は、根の中に土台を立てるのですが、その土台ごと外れることもあります。
〇歯の根が割れる
噛む力に耐えきれなくなった歯の根が盾に割けるように割れてしまうことがあります。
特に、神経を取る治療を行った歯によく見られます。
これは、歯に栄養を送っていた血管がなくなることで脆くなってしまう事や、残っている根の壁の量が少なくなっている事が関係しています。
また、神経を取る治療を行っていない歯も折れることがあります。
これは、歯の本数が少なくなってきた中高年層に見られます。
本数の減った歯に集中して歯ぎしりの力がかかることに加え、歯の経年劣化が関係しています。
〇骨が減る
先ほど、歯ぎしりやTCHによって骨が増える(骨隆起)とお話しましたが、逆に減ってしまうこともあります。
部分的に強い力が歯にかかると、その歯の周りの骨は破壊され少なっていきます。
また、歯周病の炎症で骨が減ってきている場合、骨の破壊がさらに進み、歯周病の悪化が加速してしまいます。
まとめ
被せ物のトラブルだけでなく、歯を失うリスクが高くなってしまう歯ぎしり・TCH。
歯ぎしり・TCHは年齢問わず見られ、また自覚していない方も多いかと思います。
「歯を傷める力」による痕跡が見られる方はもちろん、ご自身で判断できない方でも、詰め物が外れやすい・壊れやすいと感じる事がありましたら、ご相談ください。
また現在、かかりつけの歯科を決めていないかたもいらっしゃると思います。
歯の削れ具合や、壊れやすさなど、経年的な変化がわかるため、かかりつけの歯科を作ることも歯を守るために出来る事の一つです