こんにちは。東京都世田谷区北沢にある医療法人社団 燦陽会 下北沢駅前歯科クリニックです。
フッ素は、虫歯の予防効果が期待できる成分です。歯磨き粉やうがい薬にも含まれていますが、歯科医院では高濃度のフッ素を歯に直接塗布する処置を行っています。特に、子どもの虫歯予防として行われることが多いですが、大人の虫歯予防にも効果を発揮します。
しかし、虫歯予防に良いと聞いたことはあっても、具体的な効果や処置が推奨される頻度については知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、フッ素塗布がなぜ虫歯予防に役立つのか、効果や安全性について解説します。実際に塗布する際の流れや費用についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
フッ素の効果
フッ素塗布は、歯の表面に直接塗布することで、虫歯の発生を予防する処置です。主に、以下の3つの働きがあります。
歯質を強化する
フッ素の効果は、歯の表面にあるエナメル質を強化することです。虫歯は、口の中の細菌が糖分をエサとして酸を発生させ、酸が歯を溶かすことで発生します。
フッ素を塗布すると、歯のエナメル質が酸に溶けにくい性質へと変化し、虫歯菌への抵抗力が高まるのです。特に、生えたばかりの乳歯や永久歯はフッ素を取り込みやすいため、高い効果が期待できます。
再石灰化を促す
初期の虫歯は、歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラル分が溶け出しているものの、まだ穴は空いていない状態です。口の中が中性になると、唾液の働きによってミネラル分が歯に戻る再石灰化が行われますが、十分に修復できなくなると虫歯へと進行します。
フッ素には、この再石灰化を促進させる働きがあるため、穴が空いていない初期虫歯の進行を食い止められる可能性があるのです。
細菌の繁殖を抑える
フッ素には、虫歯の原因となるミュータンス菌などの細菌の活動を抑制する抗菌作用があります。細菌が酸を作り出すのを防ぎ、虫歯が発生するリスクを低減させます。
フッ素の安全性
フッ素は、自然界に広く存在するミネラルの一種です。私たちは日常生活で、飲み水や食事から微量のフッ素を摂取しています。歯科医院で行うフッ素塗布も、この自然界に存在するフッ素を有効活用した予防方法のひとつです。
日本では、厚生労働省や歯科の学会が示すガイドラインに基づき、フッ素の塗布が安全に実施されています。歯科医院で使用されるフッ化物の濃度や塗布量は厳格に管理されており、適切な方法で使用すれば、健康への影響は極めて低いとされています。
ただし、フッ素を一度に大量に摂取すると、急性中毒を引き起こす可能性があります。吐き気や腹痛、嘔吐などの症状が現れることがあります。
歯科医院では、年齢や体重に応じた適切な量が用いられているため、通常の処置でこのような症状が現れる心配はほとんどありません。
特に小児では、フッ素の過剰摂取により、歯に白い斑点や縞模様が現れる斑状歯（はんじょうし）という症状を引き起こす可能性があります。過剰摂取による症状を防ぐため、歯科医師や歯科衛生士は、子どもの安全を考慮しながら適切な量のフッ素を使用しています。
家庭でフッ素配合の歯磨き粉を使用する際も、濃度や使用量について歯科医師の指導を受け、年齢に応じた正しい使い方を心がけましょう。
フッ素塗布の流れ
フッ素塗布は、以下の流れで行われます。
口腔内の状態を確認する
フッ素塗布を行う前に、歯科医師や歯科衛生士が口の中を確認します。チェックする項目は、虫歯や歯周病の有無、歯の欠けや詰め物の不具合などです。目視でチェックできない部分は、レントゲン撮影を行って確認する場合もあります。
もし虫歯が見つかった場合は、先に虫歯治療を行います。初期虫歯であればクリーニングとフッ素の塗布により進行を抑えられ、修復が期待できる場合もあります。エナメル質より進行している場合は、歯を削って詰め物・被せ物をする治療が必要です。
歯のクリーニングを行う
歯の表面についた歯垢（プラーク）や歯石、着色汚れを専用の器具を使って取り除きます。歯の表面に汚れが残っていると、フッ素がエナメル質に作用しにくくなるため、きれいにしておくことが大切です。
特に、奥歯の噛む面や歯と歯の間、歯茎との境目など、汚れが溜まりやすい部分は丁寧にクリーニングを行います。
歯の表面を乾燥させる
清掃後、エアーや綿球を使って歯面の水分や唾液を除去します。歯の表面を乾燥させることで、フッ素が均一に広がり、歯に浸透しやすくなるのです。
フッ素を塗布する
歯の表面や根元にジェル状や液状のフッ素を塗布します。塗布にかかる時間は、2〜4分程度、処置全体にかかる時間は10〜15分程度です。歯全体に塗布できたら、余分なフッ素を拭き取ります。
塗布後の指導を行う
処置が完了したあと、帰宅後の注意点や次回の受診時期などについて説明があります。うがいや歯磨きのタイミング、飲食開始時期などによっては、フッ素の効果にも関わるため、わからないことがあればしっかりと聞いておきましょう。
フッ素塗布後の注意点
フッ素塗布の効果を十分に発揮させるためには、塗布後の過ごし方が重要です。ここでは、塗布後に気をつけるべき具体的なポイントをご紹介します。
塗布後1時間は飲食やうがいは控える
フッ素は塗布直後から歯の表面に取り込まれ、再石灰化を促進します。
しかし、飲食やうがいをすぐに行うと、表面に残ったフッ素が洗い流され、十分な効果が得られなくなる可能性があります。虫歯予防の効果を高めるためには、フッ素の成分を染み込ませる必要があるのです。
最低でも30分、できれば1時間程度は水を含む飲食やうがいを控えましょう。
唾液は飲み込まずに吐き出す
塗布直後に口の中にたまった唾液は、飲み込まず、吐き出すようにしましょう。一度に大量のフッ素を飲み込むと吐き気や腹痛などの症状が現れることがあるためです。
口の中の唾液に含まれる量であれば、急性中毒を起こす心配はありませんが、できるだけ飲み込まないほうが安心でしょう。
色の濃い飲食物は避ける
フッ素塗布後の歯の表面は、通常よりも着色しやすい状態です。コーヒーや紅茶、赤ワインやカレーなど、色素の強い飲食物を口に入れると、歯に色がつく可能性があります。
特に塗布当日は、できるだけ色の濃い食べ物や飲み物を避けることが望ましいでしょう。
フッ素塗布を受ける頻度
フッ素の効果は永久に続くものではなく、時間の経過とともに少しずつ薄れていきます。そのため、効果を持続させるためには定期的な塗布が必要です。
一般的に、3〜4ヶ月に一度の頻度でフッ素塗布を受けるのが理想的とされています。特に、乳歯や永久歯が生え始めた子どもは、歯が弱く虫歯になりやすいため、定期的に通院することが勧められます。
また、大人の場合も、定期的にフッ素を塗布することで虫歯予防の効果が期待できるでしょう。
フッ素塗布の費用
フッ素塗布にかかる費用の目安は、自由診療の場合1,000円〜3,000円程度です。
しかし、条件によっては、保険適用で受けられます。診療報酬改定により、口腔管理体制強化加算（口管強）という制度が始まりました。
虫歯や歯周病の重症化を防ぎ、歯の健康を維持するための予防管理を、より充実させることを目的としています。
口腔管理体制強化加算の施設基準を満たした歯科医院では、保険適用でフッ素塗布を受けられる場合があります。定期的な口腔管理の一環として、歯科医師が虫歯の予防に必要と判断したケースが挙げられます。
また、自治体によっては、3歳時検診など子どもに対して無料で行っている場合もあります。
まとめ
フッ素には、細菌の活動を抑えながら歯質を強化し、再石灰化を促す働きがあります。特に、生えたばかりの歯を持つお子さまや、虫歯リスクが高い方にとって、欠かせない予防法といえるでしょう。
体に健康被害がないよう濃度や量を調整されているため、安全面での心配も必要ありません。
フッ素の効果は時間とともに薄れていくため、3〜4ヶ月に一度のペースで塗布することが推奨されています。日々の丁寧な歯磨きと歯科医院での定期的なフッ素塗布を組み合わせることで、健康な歯を長く保てるでしょう。
フッ素塗布を検討されている方は、東京都世田谷区北沢にある医療法人社団 燦陽会 下北沢駅前歯科クリニックにご相談ください。
当院では、一般歯科や予防歯科、矯正治療、ホワイトニング、マタニティー歯科など、さまざまな分野に力を入れています。ホームページはこちら、ご予約・お問い合わせもお待ちしております。
