「シダキュア」と歯科治療


「花粉症舌下免疫療法」というアレルギーの治療が増えてきました。

この治療で使用する「シダキュア」というお薬が歯科治療を行う際に、重篤な副作用が引き起こされることがあるという報告がありました。

目次

  1. シダキュアとは
  2. シダキュアの副作用
  3. 歯科治療で引き起こされる副作用
  4. お子様が服用されているとき
  5. まとめ

 


1.シダキュアとは


シダキュアはスギの花粉症の治療に使用するお薬で、スギ花粉を原料とするエキスから作られています。

アレルギーの原因物質を少量から服用することで体を慣らしていき、スギ花粉による花粉症状(アレルギー症状)を和らげます。

アレルギー症状がない時期でも、一度服用を始めると長期間(1~3年)毎日服用する必要があります。

舌の上に乗せるとすぐに溶ける錠剤です。

溶けた後は舌の上にのせたまま1分ほど待ち、飲み込みます。

 


2.シダキュアの副作用


  • ・口の中のむくみ
  • ・口内炎
  • ・口腔内のかゆみ
  • ・のどの刺激感、痛み

 

などお口の中に反応が出ることがあります。

お口の中の副作用の発現頻度は5%以上と言われています。

 


3.歯科治療で引き起こされる副作用


歯科治療の中でも抜歯などの外科処置を行う際は注意が必要になります。

傷口からお薬の成分が入り込むと、アナフィラキシー症状を引き起こすことがあるそうです。

アナフィラキシー症状とは、皮膚のかゆみや、嘔吐下痢などから、重篤な場合は咽頭がむくみ、気道が狭くなり呼吸困難、意識の混濁などがみられます。

特に奥歯の抜歯を行うと腫れることが多いようです。

矯正器具が舌に当たり、腫れたケースもあったようです。

製薬会社が2021年に製作したシダキュアについての手引書には

「投与可否の判断が必要な場合」の中に「抜歯後等口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症等があるとき」

と明記されています。

 


4.お子様が服用されているとき


5歳から服用可能なお薬ですが、抜歯後のアナフィラキシー症状は大人より子供の方が症状が発現しやすいようです。

また、前述したとおり、「抜歯後等口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症等があるとき」は注意が必要です。

早ければ4歳ごろから歯の交換期に入ることがあります。

手引書には「歯が生え変わる時は、事前に医師に対応方法等を確認しておくとよいでしょう。」 と書かれています。

お気を付けください。

 


5.まとめ


海外の文献では舌下免疫療法中は抜歯や口腔内に侵襲のある手術は禁忌としているものもあります。

しかし国内にも海外にもまだ明確な基準になるようなガイドラインはありません。

歯科治療が終わってからの投薬開始を薦める病院もあるようです。

シダキュアを服用されている方は歯科にかかる際は必ずお伝えください。

安心安全に治療を進めるために内科の先生と連絡を取ることがあります。

場合によっては服薬を止めていただくこともあります。

ご協力よろしくお願いします。