睡眠時無呼吸症候群とは


以前、睡眠の質についてお話ししたとき、睡眠時無呼吸症候群について少しお話ししました。

本日はもう少し詳しくお話ししたいと思います。

 

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは


睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなる病気です。

10秒以上呼吸が止まる場合を「無呼吸」、呼吸が浅くなる場合を「低呼吸」と呼びます。

  • ・いびき
  • ・夜間頻繁に目が覚める(息苦しくなって目覚めることもある)
  • ・起床時の頭痛や体のだるさを感じる
  • ・日中の眠気、倦怠感

いびきは必ず出る症状ですが起床時や日中の眠気、倦怠感は感じない方もいらっしゃいます。

 


睡眠時無呼吸症候群の原因


SASは、発生する原因によって3つに分類されます。

〇閉塞性無呼吸症候群

空気の通り道が細くなることで発生します。

SASの8割以上がこのタイプになります。

空気の通り道が狭くなる要因として

  • ・脂肪沈着による首、喉周りの脂肪沈着
  • ・扁桃肥大
  • ・舌の根元が下がる(舌根沈下)
  • ・鼻の病気(鼻炎や鼻中隔湾曲など)

 

これらがあげられます。

また、骨格も関係しており、骨格が大きい場合多少太ったとしても軌道を狭くする可能性はあまり高くありません。

反対に骨格が小さかったり、気道のスペースが少ない場合は閉塞しやすくなります。

肥満でなくても睡眠時無呼吸の方がいらっしゃるのはこのような理由からです。

 

〇中枢性睡眠時無呼吸症候群

呼吸を調整する脳の働きが低くなることで発生します。

SASの中でもこのタイプは数%しかいません。

このタイプの睡眠時無呼吸症候群になるメカニズムは様々ですが、心臓の機能が低下した方の30~40%の方に見られると考えられています。

中枢性では、チェーンストークス呼吸が見られることがあります。

  • ・チェーンストークス呼吸とは

呼吸が徐々に増大と減少を繰り返し、最も減弱したときにしばらく停止しているような周期的な異常呼吸です。

まず数秒から数十秒の無呼吸がみられ、その後浅い呼吸が始まり、徐々に深い呼吸になります。

その後再び浅い呼吸に戻って呼吸停止となります。

このサイクルを30秒から2分程度で繰り返すことが多い呼吸です。

 

〇混合性睡眠時無呼吸症候群

閉塞性と中枢性の両方の要因が関係して発生します。

 


検査、診断


・日中の眠気の評価

SASでは日中の過度な眠気が出ることが多いです。

問診表を使い日中の眠気の強さを評価します。

 

・睡眠時の検査

ご自宅での検査が可能な簡易型無呼吸モニター検査と、入院が必要になる睡眠ポリグラフ検査があります。

睡眠ポリグラフ検査では以下のようなことを行います。

  • ・脳波検査で、睡眠の深さや眼球運動の変化をモニタリング
  • ・血液中の酸素レベルを測定
  • ・鼻孔と口の前に取り付けた装置により気流を測定
  • ・胸に装着したモニターにより呼吸の運動とパターンを測定

この検査は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と中枢性睡眠時無呼吸症候群の判別に役立つこともあります。

原因を特定するために追加の検査が必要になることもあります。

 

・口腔内(喉)のチェック

耳鼻科的診察で、のどの奥や顎の形に異常がないか確認することも必要となりこともあります。

その際には、頭部CTやセファログラムという頭部レントゲン検査を行います。

 

・合併症検査

必要に応じて、SASに合併するとされる、高血圧、高脂血症、糖尿病などの検査を行うこともあります。

 


まとめ


現在日本には、およそ500万人ものSAS発症者がいると考えられています。

そのうち治療を受けているのは1割程度です。

9割近くの人がSASであることに気が付いていなかったり、知っていても治療を受けていない場合もあります。

治療を受けず放置してしまうと、生活習慣病の併発や重症化、最悪の場合死に至ることもあります。

合併症についてはまた改めてお話したいと思います。

睡眠について悩みがある方は専門の医療機関にて相談をされてみるのはいかがでしょう?