抜歯を勧める理由


100万円。

この金額は「天然歯1本の価値」と言われています。

天然歯を守るために歯科医は、予防、治療を行っています。

しかしどうしても抜歯を勧めることがあります。

今回は「歯科医が抜歯を勧める理由」についてお話したいと思います。

 

歯がなくなることで起こる変化


歯がなくなると様々な変化があります。

  • ・周囲の歯が徐々に傾き、歯並びや噛み合わせが悪くなる
  • ・食べものをかみ砕きにくくなり十分に咀嚼することができなくなる
  • ・発音がしにくくなる
  • ・輪郭が変わる
  • ・シワが生じる原因となることもある

さらに、咀嚼がしにくくなることで

  • 顎関節症
  • 腰痛、肩こり
  • 胃腸に負担

また、男女ともに残っている歯の本数が多い人ほど自立して生活できる期間が長くなるということが研究で明らかになっています。

 


抜歯をすすめる理由


歯を失うということは、お口の中だけの問題ではなく、全身にも影響を及ぼします。

しかし、それでも抜歯を勧める場合があります。

  • ・将来激痛をもたらす可能性がある

抜歯を勧める歯は細菌のすみかとなりやすい歯になります。

元気な時は免疫力により細菌の活動を抑え込めるため、普段は気になりにくいと思います。

疲れたり、体の具合がよくなくなると、免疫力が落ち、細菌の活動を抑え込めなくなります。

感染部の腫れや、激痛をもたらすことがあります。

  • ・誤嚥性肺炎など全身の病気につながる

症状がお口の中だけでなく、全身に広がる(誤嚥性肺炎や敗血症など)ことがあります。

  • ・周りの歯を悪くする

傾いて生えた親知らずは、隣の歯にぶつかり、歯ブラシでケアすることができないことが多いです。

すると虫歯や、歯周病(智歯周囲炎)の原因となります。

虫歯は、親知らずだけでなく手前の歯も虫歯になることが多いです。

虫歯の大きさによっては神経を取る処置が必要になったり、場合によってはこの歯も抜かなくてはいけない状況になりかねません。

  • ・その後の治療の難易度が上がる

歯の根が折れてしまった歯(歯根破折)や重度歯周病の歯はそのままにしてしまうと周囲の骨が減っていきます。

あごの骨が減るほどその後の歯を補う治療が難しくなります。

 


抜歯を勧めるケース


  • ・大きすぎる虫歯
  • ・残根状態の歯
  • ・歯根破折を起こした歯
  • ・重度歯周病の歯
  • ・歯肉や隣の歯に悪影響を与えている歯

このような場合に抜歯を勧めます。

お口の状態によっては、上記以外の場合にも抜歯を勧めることもあります。

 


まとめ


歯は、食べる、話すなど「生活の質(QOL)」に直結しています。

それでも抜歯を勧めるという事は「抜かなくてはいけない、抜いたほうがいい理由」があります。

次回はその理由についてお話していきたいと思います。