叢生について


よく見られる噛み合わせ不良、

一回目は「上顎前突について

二回目は「下顎前突について

お話ししました。

三回目は「叢生について」お話ししたいと思います。

 

目次

  1. 叢生とは
  2. 原因
  3. 将来的に起こりうる弊害
  4. 子供の治療
  5. 大人の治療
  6. まとめ

 


1.叢生とは


いわゆる「乱杭歯」と呼ばれる状態です。

歯の大きさと歯の生えるスペースのバランスが乱れた状態です。

歯の大きさと比較して歯の生えるスペースが少ない(顎が小さい)と起こります。

スペースが少ないことにより、歯が正しい方向、正しい場所に生えることができず、歯と歯が重なり合います。

八重歯も叢生の一つになります。

 


2.原因


①遺伝的要因

顎の大きさ、成長だけでなく歯の大きさも遺伝されます。

②乳歯が早く抜けたとき

乳歯が何らかの原因で歯の生え変わり期よりも早く抜けてしまうと、永久歯が生えてくるまで時間がかかります。

隙間が空いた状態が長期間続くとに周りの歯が動いて、隙間を少なくしていきます。

結果、永久歯のはえるスペースが少なくなってしまい、正しい位置に生えてこられなくなります。

 


3.将来的に起こりうる弊害


①歯磨きで磨き残しが多くなりやすい。

磨き残しの部位は虫歯や歯周病のリスクが高くなります。

また、口臭悪化の原因になることもあります。

②口内炎ができやすい

歯がほっぺたや唇に当たり傷つけることが多く、口内炎ができやすくなります。

 


4.子供の治療


上顎は10歳、下顎は18歳頃まで成長します。

顎の成長を利用し歯の並ぶスペースを確保します。

治療に使用する装置には取り外し式の装置と歯と固定する固定式の装置があります。

①取り外し式の装置

メリット

  • ・夜間のみ装着するため、日中の違和感が少ない
  • ・歯磨きの時に取り外せるため虫歯、歯肉炎のリスクが低い

デメリット

  • ・装着時間が少ないと治療の効果が弱まる
  • ・夜間寝ている間、無意識に装置を外してしまうことがある

 

②固定式の装置

メリット

  • ・装着をし忘れるということがなくなり、治療の効果が弱くなることがない

デメリット

  • ・装置が固定されているため、歯磨きが難しくなる。不十分な場合、虫歯・歯肉炎のリスクが高くなる。

 


5.大人の治療


ワイヤー矯正による治療が主流でしたが、現在は装置が目立ちにくいマウスピース矯正での治療も行います。

叢生が軽度の場合、部分矯正での治療が可能な場合もあります。

歯の並ぶスペースを確保するため、歯列を頬っぺた側に押し広げるような固定式の装置を使用することもあります。

また、スペースが足りない場合は抜歯を行うこともあります。

叢生の度合いにより使用する装置や、スペースの作り方は変わってきます。

 


6.まとめ


「将来入れ歯になりたくない」、「最後まで自分の歯を使い続けたい」、これらは誰もが願う事だと思います。

そのため、健康な歯を抜くことに抵抗がある方もいらっしゃると思います。

しかし、叢生は重度になればなるほど歯と歯が重なり、セルフケアで綺麗に保つのが難しくなります。

歯科医院での専門的なクリーニングでも十分に綺麗にすることが難しくなることもあります。

そのため、虫歯や歯周病になりやすくなる傾向があります。

「自分の歯を長く残したい」と思う方は、見た目だけでなく機能的な意味でも矯正治療を行うことで、結果的にご自身の歯の寿命を延ばすことにつながります。