前回は「ワイヤー矯正とマウスピース矯正のメリット・デメリット」についてお話しました。
マウスピース矯正は取り外しができる装置です。
そのため、取り扱いに注意が必要になります。
本日は「マウスピース矯正の取り扱い方」についてお話したいと思います。
目次
1.着脱時の注意点
- ・装着前は必ず歯を磨きます。
マウスピースを装着すると、虫歯になりにくくなる様々な作用のある唾液を遮断しています。
歯磨きをせずにマウスピースを装着すると、細菌が多く存在するプラークが歯に付着し、さらに唾液の遮断により虫歯のリスクが上がってしまいます。
必ず歯磨きを行いましょう。
- ・マウスピースを装着するときは浮き上がらないようしっかりフィットするまで最後まで手で装着してください。
噛みながら装着するとマウスピースの変形や破損の原因になります。
- ・取り外すときは左右どちらかの奥歯の内側から指を使ってゆっくりと浮かせてください。少し浮いたところで反対側も同様に浮かせます。前歯も少しずつ浮かせながら外しましょう。
無理な力で外そうとしたり、曲げやねじりながら外そうとすると変形、破損の原因になります。
2.お手入れの注意点
- ・マウスピースは着脱前に柔らかい歯ブラシで汚れを取るように磨き、流水で洗い流してください。
内側は窪みがあるため特に注意して磨くようにしてください。
- ・汚れが気になる時はマウスピース専用の洗浄剤も使用してください。
入れ歯洗浄剤を使うと色が変わり見た目が悪くなることがあります。
3.飲食の注意点
お食事の時はマウスピースを外していただくため、お食事自体の制限はありません。
お飲み物を飲むときもマウスピースを外していただく場合があります。
- ・お水以外の飲み物を飲むときはマウスピースを外しましょう。
装着したままお砂糖の含まれている飲み物を飲むと、虫歯のリスクが高くなります。
また、コーヒー・紅茶・赤ワイン等はマウスピースの着色の原因になります。
お食事同様、装着前は必ず歯磨きを行いましょう。
- ・お湯はご注意ください。
熱いものはマウスピースが変形する可能性があります。
マウスピースが変形してしまうと矯正の力が正しく歯に伝わらなくなってしまいます。
お湯も外して飲んでいただくと安心かと思います。
- ・飲食後はすぐに歯磨きをして、装着しましょう。
4.保管時の注意点
- ・外した後は必ずケースに入れましょう。
少しの間だからとティッシュに包むと誤って捨ててしまうことがあります。
また、汚れが付着し不衛生です。
必ずケースに入れるようにしてください。
- ・前の段階のマウスピースはすぐに破棄せず、しばらく保存してください。
使用中のマウスピースの破損や紛失時や、矯正治療の経過があまりよくないときにステップを戻って使用することがあります。
5.装着時間の注意点
- ・お食事の時間以外は装着してください。
マウスピース矯正は1日20時間以上の装着時間が必要です。
マウスピース矯正はマウスピース装着時に歯を移動させます。
また、外している時間は、元の位置に戻ってしまいます。
外している時間が長くなると戻る量も増えてしまい、それまで使用していたマウスピースが入らなくなることがあります。
そのような時は前のステップに戻る必要があります。
治療期間自体も長くなってしまいます。装着時間には十分お気を付けください。
6.治療終了後の注意点
治療終了後はリテーナー(保定装置)を装着していただきます。
治療終了後は歯が元の位置に戻る「後戻り」という現象が起こります。
歯は終了直後程大きく動きやすいため、初めはお食事の時間以外、装着しましょう。
歯並びが安定してくると睡眠時のみの装着で後戻りを防ぐ事ができます。
7.まとめ
マウスピース矯正はご自身の取り扱い方で治療効果が大きく変わってきてしまいます。
「取り外せるため歯磨きがしやすく、虫歯のリスクが低い」メリットがありますが、正しい取り扱い方をしないとそのメリットが成立しなくなってしまいます。
例えば、毎食後装着前の歯磨きを行わないと、歯の周りのプラークが付着したままになり、さらに歯の表面に唾液が到達できず、虫歯のリスクは高くなります。
マウスピース矯正を行うときは、「計画通りの治療期間」で「健康で、きれいな歯並び」になるよう、正しく取り扱うよう心がけましょう。