乳歯の虫歯を放置してしまうと


乳歯は時期が来れば生え変わる歯です。

しかし生え変わる歯でも、虫歯の治療は必要です。

それは、乳歯が虫歯になりやすく、進行が速いことも関係しています。

本日は乳歯の虫歯についてお話ししたいと思います。

 

乳歯が虫歯になりやすい理由


歯の一番外側のエナメル質が未熟なため酸への抵抗性が低いため、虫歯の進行が速くなります。

また、乳歯の奥歯は溝が深いため汚れがたまりやすく虫歯になりやすい場所になります。

また、虫歯になると治療し、詰め物を行うと思います。

ですがその詰め物も虫歯になりやすい場所になります。

永久歯と比べ詰め物と歯に段差ができやすいことや、外れやすいことが関係しています。

 

〇乳歯の詰め物が外れやすい理由

  • ・詰め物自体が薄くなるため

永久歯と比べエナメル質が薄いため、詰め物も同じように薄くなってしまい、取れやすくなってしまいます。

  • ・乳歯と詰め物の硬さの違い

乳歯は詰め物の硬さは詰め物の方が硬いです。

詰め物の高さを同じに調整しても、時間がたつと乳歯がすり減ってしまい詰め物と乳歯の間に段差が出来てしまいます。

この段差の所に汚れがたまりやすくなり、虫歯になりやすくなります。

また、段差に引っ掛かることで外れやすくなってしまいます。

  • ・生え変わりの時期

歯の生え変わり時期は歯が動きます。

動きが大きくなると詰め物も外れやすくなります。

  • ・唾液の量

子供は大人に比べ唾液量が多いです。

この唾液が歯と詰め物を付ける接着剤に固まる前に触れると接着剤の効果が弱まり外れやすくなってしまいます。

このように多くの要因から子供の詰め物は外れやすくなります。

 


乳歯の虫歯を放ってしまうと


酸への抵抗性の弱い乳歯のエナメル質は、厚みも永久歯の半分くらいしかありません。

さらに、神経のお部屋も大きいです。

そのため、一度虫歯になると虫歯は神経のお部屋まですぐに到達します。

虫歯が神経のお部屋まで広がると強い痛みが出ます。

痛みによってお食事がとれなくなったり、夜の睡眠も十分に行えなくなることもあります。

以前、虫歯菌に感染した神経は取らなくてはいけないとお話ししました。

乳歯も同様、神経をとる処置が必要になります。

神経をとる処置を行った歯はその後、根の先に膿を作ってしまいます。

根の先に膿を作ってしまうとその歯の完治は難しく、治療を行っても再発の可能性は常にあります。

乳歯の場合も同様で、根の先に膿を作ってしまいます。

乳歯の根の近くには永久歯が控えています。

この膿が永久歯に悪い影響を与えてしまいます。

 


根の先に膿ができると


①永久歯の方向異常

乳歯の根の先に膿があると乳歯の下に控えている永久歯はその膿を避けようとします。

結果、向きが変わって永久歯が生えてくることがあります。

 

②乳歯の早期脱落

健全な乳歯の場合、永久歯が生えようと動くことで乳歯の根っこが吸収され乳歯が抜け、生え変わります。

根の先に膿があると永久歯の動きに関係なく乳歯の根っこの吸収が早まることがあります。

早期に抜けると永久歯の生えるスペースを確保するという乳歯の役割をはたせなくなります。

当然永久歯はなかなか生えてこず、永久歯が生える準備が整う頃にはスペースは狭くなり、歯列不正の原因になります。

 

③根の下の永久歯のエナメル質の異常

エナメル質がうまく作られず、変色や部分的な欠けが見られる状態をエナメル質形成不全症と呼びます。

その部分は歯の質が弱くなります。

エナメル質形成不全症の一つに「ターナー歯」というものがあります。

これは乳歯の根の先にある膿が永久歯の発育不全を起こし、エナメル質形成不全になった永久歯のことです。

出てきたときから歯の表面が白斑や茶色に変色していたり、歯の欠けが見られる状態です。

膿の影響を受けてしまった永久歯は生まれながらにして虫歯に弱い歯になってしまいます。

 


まとめ


生え変わるからと言って乳歯の治療を行わないと永久歯にも様々な影響を及ぼしてしまいます。

また、生え変わり期に乳歯の虫歯があるということは口の中には虫歯菌がいっぱいいることになります。

生えたての未成熟な永久歯も当然虫歯のリスクが上がります。

また、治療をしたからと言ってずっと安心というわけではありません。

先ほどもお話したように乳歯の詰め物はとても外れやすいです。

外れた場所をそのままにしてしまうとその部位から虫歯になるため、注意が必要です。

詰め物が完全にとれていなくても、部分的に接着剤が外れ歯と詰め物の間に隙間ができることもあります。

その隙間から虫歯になることもあるため、定期的に歯科医院にてチェックしてもらうことが重要です。