新型コロナウイルスによる規制もなくなり少しずつ日常が戻ってきました。
コロナが歯の健康にも影響を与える可能性がある、という考えから調査を広げていくと、歯の健康にはストレスやうつ病が関係していることが分かりました。
本日はストレス、うつ病と歯の関係についてお話したいと思います。
新型コロナウイルスと歯
新型コロナウイルスが歯の健康へ与える影響として「間食の頻度」や「歯磨きの頻度」かと考えられていました。
おうち時間が増え、普段食べなかった時間におやつを食べるようになったり、自宅でお酒を飲み、歯磨きが適当になった、などが考えられていました。
2020年8月~9月日本全国の15~79歳の男女を対象とした調査を行いました。
この調査で、直近一ヶ月の歯の痛みは精神的ストレスによるものが最も多いと分かりました。
この調査には「歯の痛み」についての設問以外に、経済状況についての設問もありました。
「収入の減少」、「仕事の減少」、「失業」についてです。
歯の痛みを感じた中で最も多かったのは
失業した方
でした。
この調査期間は、東京では一回目の緊急事態宣言が解除されてしばらくした頃になります。
生活環境や経済状況の急激な変化によるストレスの急増により、免疫の低下が原因と考えられています。
ストレスと炎症
歯科疾患は最も多い病気の一つで日本国内で4000万人近い方のお口に治療が必要な虫歯があると言われています。
また、歯周病も日本人の30歳以上の8割がかかっていると言われている病気です。
痛みや腫れを感じないのは免疫機能で抑え込んでいる証拠です。
疲れたとき、体の調子が良くない時に痛みだすのは、免疫力が低下し、それまで抑えられていた炎症(慢性炎症)を抑えられなくなるためです。
先ほどお話したようにストレスは免疫力を下げてしまいます。
そのため、過度のストレスがかかると免疫力の低下により炎症が抑えきれなくなり痛みが出てきてしまいます。
歯の健康とうつ
自分の歯が多いとうつの予防になるという事もわかってきました。
要介護認定を受けていない65歳以上の方を対象に歯の本数と3年後の抑うつ状態を調べると、20本以上ある方では9.1%、歯が1本もない方では14.2%が抑うつ状態になったことが分かりました。
つまり、歯が無いと抑うつの危険度が1.2倍になります。
しかし、歯がいいとうつになりにくいのか、うつにならないことが歯にいいことなのか、の関係はまだ明確になっていません。
また、自分の歯が多いとうつ症状も軽くなるという事も明らかになりました。
若い方ほど歯を一本失うごとのうつ傾向が強く、女性より男性のほうが強く出ることもわかりました。
歯は笑顔でおしゃべりをしたり、おいしくお食事を取ったり、友人との楽しい時間、生活を豊かにするための役割があります。
歯を残すことがうつの予防になるのはこの役割が重要な役割だから、と考えられます。
まとめ
日本人の約7%が一生のうちでうつになると言われています。
歯のケアを行うことが口の中の健康増進だけでなく、うつの予防にも、また、様々な全身疾患の予防になります。
コロナの規制もなくなり、マスクを外すことが増えてきました。
また、友人とお食事をする機会も増えたかと思います。
お口の中の悩みをなくし、笑顔で楽しくお食事をしながら、健やかな時間を過ごすのはいかがでしょうか?